目次
まずは病院へ同行しましょう
技能実習生がケガ・病気をした場合には、まずはすぐに病院へ行きましょう。
その際に、受入れ企業の日本人の方が付き添ってあげることが大切です。
外国人労働者の方々は日本の生活に慣れていません。
そのため、「日本の病院では、どのような手続きがあるのか」などがわからないことが多いです。
要するに、
「ケガしてしまった…。」
「病院にはどうやっていけばいいの…。」
「日本語通じるのかな…。」
などの不安を抱えている状態です。
期間満了まで健康に実習を続けてもらうためにも、不安をなくしてあげる、確実に診療を受けることが大切です。
受入れ企業の日本人の方が付き添ってあげるようにしましょう。
監理団体職員との連携
事業者側の方が慣れておらず、「どうしていいかわからない!」という場合は、監理団体に連絡しましょう。
できれば病院まで同行してもらい、助言指導を受けることが望ましいです。
持ち物は?
病院へ行く際は、保険証を持参しましょう。
労働災害の場合は、日本人従業員と同じように処理されます。
技能実習生の病気・事故にも保険は適用される
技能実習中の就業中の事故については、のちに解説する労災保険(労働者災害補償保険)が適用されます。
日本人従業員と同じように処理されます。
就業中以外の日常生活での事故やケガ・病気については、健康保険が適用されます。
そのため、費用の3割は技能実習生が自己負担します。
ただし、多くの外国人労働者は「外国人技能実習生総合保険」に加入するので、申請をすれば自己負担した金額は全額戻ってきます。
労働災害(労災)とは
労働災害(以下: 労災) とは、労働者が業務中に被った災害のことです。
労災である場合は、日本人の従業員と同様の労災処理を進めます。
労災は、「業務災害」と「通勤災害」の2種類に分けられます。
◯ 「業務災害」は労働者が業務中に負傷、疾病、障害、死亡などを被った場合を指します。業務が原因とされる災害であり、業務と傷病の間に一定の因果関係があれば、「業務災害」として認められます。
具体例は以下のようなものがあります。
・工場での作業中に、ベルトコンベヤーに指が挟まりケガをした。
・会社の車で取引先に行く道中、交通事故に遭ってケガをした。
・上司の言動にその中に人格や人間性を否定するような内容が含まれており、業務指導の範囲を逸脱していた。これが執拗に行われ、うつ状態と睡眠障害になり精神科を受診したところ、うつ病と診断された。
◯ 「通勤災害」は、労働者が通勤中に負傷、疾病、障害を被った場合を指します。
「業務災害」との違いは、業務中であるか、通勤中であるかの違いです。
ここでいう通勤とは、「就業に関する移動」のことです。
具体例は以下のようなものがあります。
・自宅から会社に出勤する道中、電車と接触してケガをした。
・急な発熱で早退し病院で診察後に事故にあい、ケガをした。
以上のように、労災には「業務災害」と「通勤災害」の2種類があります。
これらの労災に当てはまる場合は、日本人の従業員と同様の労災処理を進めます。
中には、公的な保険ではカバーできない場合があります。
このような場合のため、「外国人技能実習生総合保険」への加入が推奨されています。
労働者災害補償保険(労災保険)とは
労働者災害補償保険(以下: 労災保険)とは、労働者やその遺族の生活を守るための社会保険です。
被雇用者が仕事中・通勤途中に起きた出来事が原因でしてしまったケガ・病気・障害、あるいは死亡した場合に保険給付を行う制度です。
ここでの被雇用者とは、会社に雇われている正社員だけでなく、パートやアルバイト、そして外国人労働者、技能実習生も含みます。
労災の対象は業務上および通勤途上に起因としたもののみが対象となります。
つまり、前述した「業務災害」と「通勤災害」の2種類に含まれるものが対象です。
健康保険との違いは、以下の2点です
・療養の費用の自己負担がない
・休業時の手当についても健康保険の傷病手当金よりも手厚い補償となっている
労災保険は労働者を一人でも雇用する会社に加入が義務付けられています。
ほかの社会保険と違い、その保険料の全額を事業主が負担します。
外国人技能実習生総合保険とは
【※この記事では、JITCO(公益財団法人 国際人材協力機構)の支援サービスを参考にして解説します。】
「外国人技能実習生総合保険」は、
技能実習生や特定技能外国人の日本での病気、就業時間外の傷害事故をカバーするための団体保険契約です。
技能実習生が日本に入国した時点で加入します。
この保険に加入していれば、病院の診察料、処方箋を支払った金額が戻ってきます。
条件によりますが、技能実習生が死亡した場合にも保険は適応されます。
慣れない地で学ぶ技能実習生の中には、技能実習中のみならず、日本での日常生活における心配事を抱えていることがあります。
このような不安をカバーし、安全・安心に実習期間を過ごしてもらうべく、このような保険が用意されています。
実際に、受け入れている技能実習生がケガ・病気になった際に適用できるので、事業者の方も把握しておくことが望ましいです。
保険の特徴
1. 技能実習生が母国出国から帰国するまでの間、実習実施期間中の全期間をカバーする保険です。
なので、在留資格の変更に伴う保険加入漏れを防ぐことができます。
2. 治療費用に関しては、国民健康保険・健康保険等の資格取得の時期が考慮されており、母国出国から一定期間は治療費用が100%補償されます。
3. JITCOが窓口となって取扱うことにより、一般の個別契約よりも割安な保険料で加入できます。
(※全ての加入者から申し込まれる被保険者数により割引率が変更になる場合があります。)
保険金が支払われるケース
責任期間中は、以下の6パターンにおいて、事故・病気・ケガが補償されます。
1. 治療費用保険金(事故日からその日を含めて180日以内に要した費用限度)
2. 死亡・後遺障害保険金(事故日からその日を含めて180日以内に死亡した場合もしくは後遺障害が生じた場合)
3. 疾病治療費用保険金(最初の治療日からその日を含めて180日以内に要した費用限度)
4. 疾病死亡保険金
5. 賠償責任保険金
誤って他人の物を壊した、 他人をケガさせ、法律上の損害賠償責任を負担したときに支払われます。
職務遂行に基づく損害賠償や実習生の居室に与えた損害に対する損害賠償は除きます。
示談交渉サービスはありません。
6. 救援者費用等保険金
病気またはケガにより死亡した、危篤状態になったときに、
現地からの親族等への渡航費用等が支払われます。
保険金が支払われないケース
以下の3つの場合では、保険金は適応されません。
1. 妊娠・出産・流産・早産およびこれらに起因する病気
2. 歯科疾病(ケガによる歯科治療を除きます)
3. 業務上・通勤途上のケガ(治療費用100%補償期間終了後)
いずれの場合も、死亡・危篤状態となった際は、救援者費用等保険金のお支払いの対象になります。
技能実習生が新型コロナウイルスに感染したとき
まず、新型コロナウイルスに感染した際の対応において、日本人であるか外国人であるかは関係ありません。
その上で、厚生労働省の呼びかけ内容をもとに、コロナ禍における対応方法を解説していきます。
感染の疑いがある場合
発熱などの風邪の症状があるときは、仕事を休むことが望ましいです。
休むことは本人のためにもなり、また感染拡大の防止にもつながる大切な行動です。
また、保健所に連絡をし、指示を受けるようにしましょう。
感染に伴い仕事を休む場合でも休業手当は出ない
新型コロナウイルスに感染により労働者が仕事を休む場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられるため、休業手当は支払われません。
被用者保険に加入していれば、要件を満たすことで、各保険者から傷病手当金が支給されます。
具体的には、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補償されます。
具体的な申請手続き等の詳細については、加入している保険者に確認してみましょう。
自主的に休む場合も休業手当は出ない
新型コロナウイルスかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため自主的に休む場合は、休業手当の支払いの対象にはなりません。
事業所に任意で設けられる有給の病気休暇制度があれば、事業場の就業規則などの規定を確認し、これを活用することなどが考えられます。
コロナ禍でのその他の対応
感染していない方でも、「帰国ができない」など、感染症拡大の影響を受けることがあります。
技能実習生が新型コロナウイルスの影響で帰国できないときの対応方法は、以下の3パターンがあります。
1. 本国への帰国が困難な場合
「特定活動(6か月・就労可)」または「特定活動(6か月・就労不可)」へ在留資格を変更することができます。
「特定活動(6か月・就労可)」を希望する場合は、従前と同一の業務でのみ働くことができます。
従前と同一の業務での就労先が見つからない場合は、
「従前と同一の業務に関係する業務(技能実習で従事した職種・作業が属する「移行対象職種・作業一覧」の各表内の職種・作業(「7 その他」を除く。)」で就労することもできます。
要するに、修得した技能に関連している職種で働くこともできるということです。
また、「特定活動(6か月・就労不可)」または「短期滞在」等の就労が認められない在留資格で在留しており、
日本での生計維持が困難であると認められる場合は、
資格外活動許可(週28時間以内)を受けて就労することができます。
2. 技能検定等の受験ができないため、次段階の技能実習へ移行できない場合
受検・移行ができるようになるまでの期間、「特定活動(4か月・就労可)」への在留資格を変更することができます。
ただし、従前と同一の受入れ機関・業務での就労を希望する方に限ります。
受入れ企業での実習継続が困難になった場合
コロナ禍で受入れ企業の経営が悪化し、実習継続が困難になった実習生への対応方法です
特定技能外国人の業務に必要な技能を身に付けることを希望するなどの一定の条件を満たす場合は、
特定産業分野(介護, 農業等の14分野)での就労が認められる「特定活動(最大1年・就労可)」への在留資格変更ができます。
まとめ
今回は、技能実習生へのケガ・病気・新型コロナウイルスに関する対応方法を解説しました。
就業中のケガへの対応は日本人と変わりません。
また、日常生活での怪我・病気も『外国人技能実習生総合保険』に加入していれば問題ありません。
ただ、技能実習生本人は日本での生活に慣れておらず、不安を抱えています。
そのため、受入れ企業の方々があらかじめ把握しておき、技能実習生をサポートできるようにしておくことが望ましいです。
ぜひ、把握しておきましょう!
*本記事の内容は2021年11月時点の情報に基づいています。特に新型コロナウイルスへの対応は変更されている場合がありますので、最新の情報をご参照ください。
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- 執筆者
- 外国人労働者ドットコム編集部