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【技能実習制度】「食品製造業」の外国人労働者の受入れについて解説

「食品製造業」の現状

2016年の時点では、約2万人の技能実習生が日本の食品製造業で働いています。
中でも食品製造業の技能実習2号移行申請者の数は、増加傾向にあります。

日本は近年、少子高齢化・単身世帯の増加などにより、家庭外で調理された食品を購入し、自宅で食べることが増えています。
つまり、食品製造に対する需要が増えているということです。

開発途上国では、日本からのスーパーマーケット、コンビニなどの海外進出に必要な、現地の食品製造工場の数が不足しています。
そのため、世界の中でも高いレベルにある日本の食品安全衛生管理、食品製造技術が海外から求められています。

このような背景があり、食品製造業で働く技能実習生は、今後も増えていくといわれています。

技能実習制度とは

技能実習制度とは、発展途上国の労働者を、日本に技能実習生として受け入れる制度です。日本企業での労働を通して、知識や技術を学ぶことができます。

技能実習制度の目的は、『技能、技術または知識の開発途上国などへの移転を図り、開発途上国などの経済発展を担う「人づくり」に協力すること』です。
日本が実習制度を通して先進国の役割を果たしつつ、国際社会との発展を実現させます。

技能実習の「食品製造業」の業務内容

「食品製造業」の業務内容は2020年現在、11職種16作業に分類されています。
ここでは、それぞれの作業内容を解説していきます。
(参考: 厚生労働省HP)

缶詰巻締

缶詰巻締

缶詰または缶詰用空缶に、缶蓋または缶底蓋を二重巻締法によって接合する作業です。
二重巻締法とは、缶胴と缶蓋または缶底蓋とを接合する方法です。
缶蓋のカール部(折り曲げた周縁部分)を缶胴のフランジ部分(周縁を外側に折り曲げた部分)に被せ、ロールで巻き込むようにして圧着して接合します。

食鳥処理加工業

食鳥処理加工業

食鳥処理の事業の規制および食鳥検査に関する法律に基づく都道府県知事の許可証を有している事業所で行う、次の1から5の一連の作業のことです。
1. 生体受入作業
2. 食鳥処理(湯漬(ゆづけ)、脱羽(だつう)、と体洗浄、内臓摘出および内臓処理など)作業
3. 中抜きと体作業
4. 食鳥解体作業
5. 生鮮肉管理作業

加熱性水産加工食品製造業

 

節類製造

魚体をラウンドあるいは、縦に二分または四分したものを煮熟・焙乾・かび付け・切削し、製品である節類を製造する作業です。

節類とは、魚体を縦に二分または四分したものを煮熟、焙乾後あんじょう(放冷)したものをいいます。
生利節(縦に分割した魚体を煮熟した後、表面の水分を乾燥したもの)、
荒節 (生利節を繰り返し焙乾したもの)、
枯節(荒節の表面を削り整形した後、かび付けしたもの)
などの総称です。

加熱乾製品製造

魚介藻類(加工原料)を加熱後、乾燥させることにより、貯蔵性を付与した加熱乾製品を製造する作業です。
加熱乾製品とは、魚介藻類を煮熟後乾燥させたものの総称です。

調味加工品製造

魚介藻類またはその乾製品に調味液を加え、味付けを行って調味加工品を製造する作業です。
さらに貯蔵性を高めるために、煮つめ、乾燥機、焙焼機などによる乾燥を行い、調味加工品を製造する作業を行います。
調味加工品とは、魚介藻類を加工段階で調味および加熱処理を施し、貯蔵性を高めたり、風味を付与したものの総称です。

くん製品製造

くん材を用い、その周辺に魚介類を置き、煙でいぶし乾燥させ、くん製品を製造する作業です。
くん製品とは、材料(魚介類)にくん煙をかけて貯蔵性を向上、風味を付与したものの総称です。

また、調味くん製品製造は魚介類を調理・調味、高温で短時間くん乾し、くん製品を製造することをいいます。
くん煙の温度により、貯蔵を目的とする「冷くん法」と調味(及び風味付け)を目的とする「温くん法」があります。

非加熱性水産加工食品製造業

塩蔵製品製造

魚介藻類または魚卵などに塩蔵処理を施し塩蔵製品を製造する作業です。
塩蔵製品とは、食塩を用いて貯蔵された加工食品の総称です。

具体的には、魚体の塩蔵製品では丸ごとか、または内臓を除去し適当に調理した魚体に食塩をまぶすか、食塩水中に漬け込み、魚体中に食塩を浸透させ塩蔵品を製造する作業です。
魚卵の塩蔵製品では、卵巣をそのまま、または卵膜の除去、血抜き等の処理をし、食塩水に漬け込んで魚卵中に食塩を浸透させ塩蔵品を製造する作業です。また、海藻(わかめなど)の塩蔵製品では、採取した海藻に大量の塩をまぶして急速に脱水した後に塩蔵し、塩蔵品を製造する作業となります。

乾製品製造

魚介藻類を低温または常温下で乾燥することにより、貯蔵性を付与した非加熱性の乾製品を製造する作業です。
非加熱性乾製品とは、素干し品(魚介類をそのまま、または適当に整形した後、乾燥したもの。)、塩干し品(魚介類をそのまま、または適当に整形した後、塩漬けまたは施塩してから乾燥したもの。)、みりん干し品(魚介類をそのまま、または適当に整形し、醤油、みりんなどによる調味液に浸けた後、乾燥したもの)窓の加工食品の総称です。

発酵食品製造

魚介類を、独特の風味をもつまで熟成させて発酵食品を製造する作業です。
使用する魚介類を丸ごと、筋肉・内臓・精巣・卵巣、またはそれらの混合物に食塩を添加し、腐敗細菌の増殖を防止し、原料に含まれる酵素、細菌および酵母等の発酵作用によって熟成させます。
また、製品の種類によっては、食塩のほか米飯、酒粕、食酢等の副資材に漬け込んで発酵食品を製造することもあります。
発酵食品とは、魚介類を塩、副資材に漬け込んで発酵させることにより、貯蔵性を持たせるとともに独特の風味を持たせた加工食品の総称です。

水産練り製品製造

かまぼこ製品製造

魚肉に2〜3%の食塩を加え、擂り潰して粘稠(ねんちゅう:ねばりけがあって密度の濃いこと。)な肉糊状とし、板付けやちくわなどに成形し、加熱凝固させたかまぼこ製品の製造作業です。

牛豚食品処理加工業

牛豚部分肉製造作業

牛豚部分肉製造工程は、次の1から7までの一連の作業工程のことです。牛豚部分肉製造作業は技能実習2号までは1,2,4,5を、技能実習3号では1,2,3,4,5を必須業務とし、6,7は関連業務とされています。

1. 枝肉の管理作業(枝肉の損傷防止、冷蔵庫から枝肉を搬出し、部分肉製造作業場へ枝肉搬入する作業)
2. 枝肉検品作業(枝肉の損傷等の確認する作業)
3. 大分割作業(原則として牛は4部位、豚は3部位に分割する作業)(※)
4. 小分割作業脱骨作業)
5. 整形作業(各部分肉の内側、外側に付着している血液、リンパ節、壁側胸膜、肉片、腱、靱帯および、その他汚染されているところの肉や脂肪を除去して、商品形態を整える作業)
6. 検品作業(金属探知機等による部分肉製品の検査作業)
7. 真空包装作業(真空包装設備による包装作業)

※作業工程3は専門級以上の技能が必要であるため、技能実習2号までは必須業務としていない。

食品衛生法に基づく食肉処理営業許可書を有する事業所の業態、部分肉製造作業で扱う対象の素材は牛、豚とし、他の家畜は対象外である必要があります。

ハム・ソーセージ・ベーコン製造

ハム・ソーセージ・ベーコン製造

この作業の内容は、以下の3つに分類されます。

1. ハム製造作業
主に、豚ロース肉や豚もも肉などの肉塊を塩せきした後、ケーシングに充てんしてくん煙、加熱などの加工をした製品(ハム類)を製造する作業です。

2. ソーセージ製造作業
種々の原料食肉を挽き肉にし、塩せきや調味をした後、ケーシングに充てんして乾燥、くん煙、加熱などの加工をした製品(ソーセージ類)を製造する作業です。

3. ベーコン製造作業
主として豚ばら肉・豚肩肉等を塩せきした後、ケーシングを使用せずにくん煙した製品(ベーコン類)を製造する作業です。

パン製造

パン製造

文字の通り、パンをつくる作業です。
小麦粉などの原料を計量し、水とパン酵母を加えてよく捏ね、パン生地をつくります。パン生地を発酵させた後に、所定の大きさに分割し、最終発酵室 (ホイロ)に入れ、適度な温度や湿度を保って発酵させ、パン生地を膨張させます。膨張した生地をオーブンなどに入れ、所定の時間加熱し、パンを焼き上げる作業です。

そう菜製造業

そう菜加工

大量製造用調理機械(使用する機械、設備、器工具などの欄参照)を使用し、食材原材料の下処理、炊く、茹でる、揚げる、炒める、煮る、焼く、蒸す、合える(和える)などの調理加工および殺菌処理などにより惣菜加工品を製造する作業です。

惣菜製造は「大量調理施設衛生管理マニュアル」を適用したものであることが定められています。
以下の1および2、または1および3を満たす必要があります。

1. 1回300食以上または1日750食以上を提供する調理施設(食数で表現できない場合は、1種類当りの1日の生産量を個数や重量で提示し食数換算の条件を示す)。

2. 加熱調理食品の加熱温度管理(標準作業書・是正マニュアル)に従い温度と時間の記録を行うこと。

3. 非加熱で調理する食材の洗浄または殺菌の管理(標準作業書・是正マニュアル)に従い実施記録を行うこと。

農産物漬物製造業

農産物漬物製造

製品出荷ができる状態に至るまでの一連の行程を行う作業です。
野菜、果実などの農産物主原料を、受入れ、カット、洗浄・除菌などの前段作業の後に、塩漬け(下漬け)し、一定時間経過後にそれを取り出して、水に浸漬して脱塩させます。脱塩後は別途調製した調味液に漬込み(本漬け)し、最終製品に仕上げます。さらに、計量、包装作業を経て、殺菌を必要とする品目については加熱殺菌を行い、異物検査にかけます。

※ 農産物漬物製造について、周年操業している施設であること。
※ 漬物製造管理士2級以上の有資格者が在籍している実習実施者であること。
※ 水産物を加えた場合は、水産物の使用量が農産物の使用量より少ないものに限る。

医療・福祉施設給食製造

医療・福祉施設給食製造

医師などの指導に基づいて、食材原材料の下処理、炊く、茹でる、揚げる、炒める、煮る、焼く、蒸す、合える(和える)などの調理加工、計量、盛付、および殺菌処理などにより、医学的な管理などを必要とする者の症状などに応じて、食事を製造する作業です。

医療・福祉施設給食製造は、
「大量調理施設衛生管理マニュアル」を適用または趣旨を踏まえた衛生管理を行い、かつ「特定給食施設における栄養管理に関する指導および支援について」(平成25年3月29日付け厚生労働省健康局がん対策・健康増進課長通知)、および当該通知に基づき都道府県などの定める指針などを適用したものであることが定められています。

よって、以下の1および2に適している必要があります。

1. 医学的な管理などを必要とする者に対する食事を継続的に1回100食以上または1日250食以上提供する施設であり、医療施設または福祉施設(利用者の居宅においてサービスを提供する業務を除く。以下「医療施設など」という。)に設置される特定給食施設であること(※)を原則とする。
※医学的な管理などを必要とする者とは、医療施設などに入院等する者をいう。
※医療施設などが直営で製造する食事および受託業者が医療施設などで製造する食事である。受託業者が所有する給食施設で製造する食事を除く。
※管理栄養士または栄養士を配置している医療施設などに限る。

2. 加熱調理食品の加熱温度管理(標準作業書(手洗いマニュアル、器具などの洗浄・殺菌マニュアル、原材料などの保管管理マニュアル、加熱調理食品の中心温度および加熱時間の記録マニュアル)に従い、温度と時間の記録を行うこと。

まとめ

今回は、技能実習制度の「食品製造業」について解説しました。
中には、遵守すべきルールがあるので、あなたが関わる職種・作業については、正確に把握しておきましょう。