「リネンサプライ」とは
「リネンサプライ」は、リネンサプライ事業者が用意したリネン類を、契約先企業に貸し出すサービスです。
リネンサプライ事業者は、タオルなどのリネン製品を在庫として持っています。
そのリネン製品を契約先に貸し出し、利用してもらいます。
そして、使用済みのリネン類を定期的に回収・洗濯仕上げをして契約先企業に納品します。
一般的なクリーニング業と似たようなイメージを、リネンサプライに対して持っている方が多いですが、
◯ リネンサプライ業者がリネンの在庫を持っている
◯ リネンを「販売」ではなく「貸し出し」ている
◯ 使用済みリネンを回収、洗濯し、納品する
などの点が違いです。
このため、理念サプライでは、
リネンサプライ事業者と契約先企業の間で、
リネン製品の回収・納品を繰り返すことになります。
リネンサプライ業務の主な流れ
◯ 契約
顧客とリネンサプライ事業者が契約します。
契約先企業の要望を詳しく伺い、
リクエストに沿った種類、サイズ、数量のリネン類をリネンサプライ事業者が準備します。
◯ 入荷・仕分け
回収したリネン製品は、専門のリネンサプライ工場に入荷します。
シーツや枕カバー、ふとんカバー、タオル類など、回収したリネン製品を品種別に仕分けします。
◯ 洗い・脱水
リネン製品を洗うの工程では、専門の大型洗濯機を使用します。
適切な温度管理、薬剤管理の元で洗浄・脱水が行われます。
仕上げの乾燥も、専用の大型乾燥機で行います。
◯ 仕上げ・検品
洗い終わった後は、プレス加工などの仕上げ作業と検品を、同時に行います。
出荷前のリネン類は連続的に検品され、不具合を発見した場合は、即座に修理・交換を行います。
◯ 出荷・納品
検品をクリアしたリネン製品を、契約先企業に出荷し、納品します。
リネン製品とは
リネンとは、亜麻の繊維を原料とした織物のことです。日本では一般的に、麻製品全般をいいます。
リネンの歴史は、「人類最古の繊維」と言われるほど古く、
天然素材の中でもたいへん上質で高級な素材と言われています。
丈夫で、肌触りもよいため、
シーツなどの寝具類、レストランのテーブルクロスなどに、リネン素材が多く使われてきました。
実際の仕事現場では、シーツや枕カバー、タオル、パジャマなどをベットリネン、
テーブルクロス、ナプキンなどをテーブルリネンと呼んでいます。
いまでは、麻に限らずそれぞれの用途に最適な素材として、綿や化学繊維が使われるようになり、
素材に関係なく、これらを総称して「リネン製品」と呼んでいます。
リネンサプライの歴史
リネンサプライ業はは昭和36年から昭和38年にかけて、クリーニングの新分野として登場しました。
昭和25年ごろ、日系二世の3名が東京大森に設立されたディベンロイから始まったといわれています。
設立当初よりリネンサプライを普及させる努力をしていましたが、日本の風土、習慣に馴染まず
はじめの10年間はクリーニング業として、
主に米駐留軍関係や外国大使館、領事館等のクリーニング下請で下地を築いていました。
リネンサプライ普及への転換点は昭和35年ごろ。
多くの自己設備を保有する都市ホテル、飲食店、航空会社などが契約を始めました。
そこから、昭和39年の東京オリンピック、昭和45年の大阪万国博覧会を足がかりに
リネンサプライ利用の拡大が加速しました。
リネンサプライ業の普及が拡大したその後は、
有力ホテル、宴会場、病院などを得意先とするリネンサプライ業と外食レストラン業界を得意先とする
ユニフォームレンタルの2つが主要業務となりました。
技能実習のリネンサプライ業務では、ホテル・病院が契約先の業種となっています。
リネンサプライの「ここが良い!」
リネンサプライ業が、世の中の企業に対してどのような貢献ができるかを解説します。
① 投資額の節約
リネンサプライの契約先企業は、リネン製品を購入する必要がありません。
つまり、備品の購入資金が節約できるということです。
よって、本来の業務や、他の設備への投資への資金運用ができます。
② 管理作業の軽減
リネン製品の品揃え、交換、補充、洗濯、補修などのすべての作業は、リネンサプライ事業者が行います。
よってご契約者は、リネン製品の管理に関する業務に関わることが少なく、
労働時間コストの負担を大幅に軽減できます。
③ 安心・安全を徹底
リネンサプライ事業者は、
管理者の国家資格取得業務(クリーニング師)、工場施設・機械設備等の適切な配置のもと、
衛生的で適正な処理を徹底しています。
このように専門性を代替えしている点においても、契約先企業の負担を軽くしているといえます。
④ 環境への配慮
消耗リネン製品は、形・用途を変えて、再利用されています。
排水処理においても、
水のリサイクルなどで環境に十分に配慮した対応を行っており、完全リサイクルもできます。
技能実習制度とは
「技能実習制度」とは、
開発途上国などの外国人が来日し、日本で修得した技能・知識を開発途上国へ移転する制度です。
実際は、日本の人材不足の補填となっているように見られる場面があり、問題視されている実態があります。ですが、本来の目的は「日本から開発途上国への国際貢献」です。
技術移転の流れは、まず開発途上国の若者が「技能実習生」となり、日本の企業で就労します(この企業を「受け入れ企業(または機関)」と言います)。この就労を通して日本の技術・知識を修得し、その技術を母国へ持ち帰り、母国での技術発展に役立てます。
以上のような流れで開発途上国の発展を助け、国際貢献を目指します。
リネンサプライ職種であれば、
洗濯されたリネン類の品種別プレス・折りたたみ、検品、結束
などの技術・知識を母国に持ち帰ることになります。
この技能実習制度は2010年まで、「外国人研修制度」という名前で運用されてきました。
しかし、目的外の労働の強要・賃金の未払いなど、さまざまな問題が見られ、本来の趣旨である「国際貢献」に反する運用の実態が問題視されていました。
これらの実態をなくすべく制度の再検討を行い、制度の改正を行いました。
この際に、制度の名称が「外国人技能実習制度」となりました。
技能実習生受け入れの流れ
ここでは、技能実習生受け入れの大まかな流れを紹介します。
まず、技能実習生を受け入れてから、事前に作成し監督省庁に提出した実習計画に沿って実習を行います。
リネンサプライ職種の場合、実習期間は最大で3年間です。
技能実習1号、2号へそれぞれの基準を満たすことで移行することができます。
受け入れを行う際の準備はたくさんあります。希望する人材の選定や必要な書類の作成・提出、法令によって定められている講習の実施などがあります。
従業員が少ない企業では、全ての手続きを自社で行うのが難しい場合がありますが、安心してください。
実際、全ての手続きを受入れ機関(企業)が行っているケースはあまり見られません。
「監理団体」と呼ばれる外部の専門機関へ委託することが可能で、中小企業など多くの企業が監理団体に委託して運用しています。
監理団体に委託する場合は、以下の流れで技能実習生を受け入れることになります。
◯ 監理団体に加入
◯ 現地(外国)で面談
◯ 現地で教育(講習など)
◯ 日本へ入国
◯ 監理団体での講習
◯ 受け入れ
技能実習「リネンサプライ」の業務内容
厚生労働省が公開している技能実習計画の審査基準をもとに、
リネンサプライ職種「リネンサプライ仕上げ作業」の業務内容を細かく見ていきましょう。
まず、リネンサプライ業とは、
「繊維製品を使用させるために貸与し、その使用後回収して洗濯して仕上げ、
更にこれを貸与することを繰り返して行う事業」をいいます。
またリネンサプライ仕上げ作業とは、
「清潔に洗濯されたリネンを品種別にプレス
または、乾燥の処理を施した後に畳み、検品、結束するまでの一連の作業」
をいいます。
ここでいうリネンとは、以下の2種類の繊維製品を指します。
◯ ホテルリネン関係
ホテル、旅館、レストラン、スーパー銭湯、サウナバス、ゴルフ場などの場所で使用される
シーツ、デュベ(羽毛布団)カバー、包布、ピローケース、タオル、浴衣・ガウン・館内着、テーブルクロス、ナプキン、ユニフォームなど
◯ 病院寝具関係
病院、診療所等で使用される
シーツ、デュベ(羽毛布団)カバー、包布、ピローケース、病衣、パジャマ、ドローシーツなど
「リネンサプライ仕上げ作業」を行う場合、「衛生基準」の認定を受けた施設である必要があります。
上記の2分類のうち
◯ ホテルリネン関係では、
(一社)日本リネンサプライ協会が定める「リネンサプライ業に係わる洗濯施設及び設備に関する衛生基準」
◯ 病院寝具関係では、
(一財)医療関連サービス振興会が定める「寝具類洗濯業務に関する基準(認定基準)」のことをいいます。
必須業務
必須業務とは、技能等を修得等するために必ず行われなければならない業務のことです。技能実習生が修得等をしようとする技能等に係る技能検定、またはこれに相当する技能実習評価試験の試験範囲に基づいた内容となっています。
第1号技能実習
1. 仕上げ作業
(1) 機械投入作業
実習施設に備えられている、リネン品種(ライン)毎のスプレッダーフィーダー(投入機) 及びフォルダー(畳み機)等の仕上げ機械への正確な投入作業
①スプレッダーフィーダー(投入機)への投入作業
②ロールアイロナー(ロール機)の送り込みベルトへの直接投入作業
③浴衣・ガウン投入機への投入作業
④フォルダー(畳み機)への投入作業
⑤トンネルフィニッシャー(連続式熱風乾燥仕上げ機)又はフォルダー(畳み機)へのハンガー掛け投入作業
(2)仕上げ作業に伴う機械操作作業(機械投入作業に使用する機械)
(3)機械メンテナンス作業(機械投入作業に使用する機械)異常を発見し、ライン長に報告する作業
第2号技能実習
1. 仕上げ作業
(1) 機械投入作業
実習施設に備えられている、リネン品種(ライン)毎のスプレッダーフィーダー(投入機)及びフォルダー(畳み機)等の仕上げ機械への正確かつ効率的な投入作業
①スプレッダーフィーダー(投入機)への投入作業
②ロールアイロナー(ロール機)の送り込みベルトへの直接投入作業
③浴衣・ガウン投入機への投入作業
④フォルダー(畳み機)への投入作業
⑤トンネルフィニッシャー(連続式熱風乾燥仕上げ機)又はフォルダー(畳み機)へのハンガー掛け投入作業
(2)検品作業
不具合なリネンを取り除き分類するとともに、その不具合に応じて各作業工程の作業方法、機械の状況等の原因を特定し、ライン内や他部署との連絡調整等の対応を行う作業
(3)結束・包装作業
仕上がったリネンを品種別・サイズ別・客先別等に分類し、所定の枚数及び方法で結束又は包装する作業
(4)仕上げ作業に伴う機械操作作業(仕上げ作業に使用する全ての機械)
(5)機械メンテナンス作業(仕上げ作業に使用する全ての機械)
①異常を発見し原因の把握を行い、軽微なメンテナンス等で回復可能な機械の停止トラブルであれば自らメンテナンスを行い、それ以外の機械の故障は工場長に報告し対策の検討を行う作業
②消耗品等の交換等作業、物品管理作業
(6)仕上げ作業ラインの管理・指導作業
①正常な状態で始業するための機械及び作業員の配置等の準備作業
②操業時間中の管理・指導作業
③終業の作業
④防火安全対策作業
安全衛生業務
安全衛生業務の内容は、1,2,3号全て共通しています。
①雇い入れ時等の安全衛生教育
②作業開始前の安全確認作業
③整理・整頓・清掃・清潔・躾(習慣)の遵守
④作業者間の安全確認作業
⑤保護具及び安全標識・装置の確認作業
⑥安全装置の使用等による安全作業
⑦異常時の応急措置を修得するための作業
⑧労働衛生上の有害性を防止するための作業
関連業務, 周辺業務
関連業務とは、必須業務に従事する者が当該必須業務に関連して行う場合のある業務のことです。修得予定の技能等の向上に寄与する内容とされています。
また周辺業務とは、必須業務に従事する者が当該必須業務に関連して通常携わる業務のことです。
(1)関連業務
1. 入荷・仕分け作業
2. 洗濯作業
3. 手投入作業
4. 手畳み作業
5. 染み抜き作業
6. 補修作業
7. 出荷準備作業
(2)周辺業務
1. 清掃作業
2. 他部署へリネンの運搬作業
3. 使用資材等の運搬作業
(3)安全衛生業務
必須業務の安全衛生業務と同じ内容です。
まとめ
今回はリネンサプライ業、技能実習における「リネンサプライ業」について解説しました。
技能実習制度を理解して、運用に臨みましょう。