留学生が特定技能を取得する流れとは?
ますは、留学生が特定技能ビザを取得する流れを説明します。
ただし、以下の流れは建設分野以外の分野が対象です。
技能試験・日本語試験に合格する
まずは、希望する業種の特定技能試験を受け、合格する必要があります。
また、日本語試験に合格する必要もあります。日本語試験は2種類あり、
・「国際交流基金日本語基礎テスト」
・「日本語能力試験(N4以上)」
があります。
就職する会社を決める
上記の試験に合格すると、次は就職して働く会社を決めます。合格した特定技能試験に対応している業種の会社を見つけ、採用してもらうことを目指します。
会社と雇用契約を結ぶ
採用が決まった会社と、「特定技能雇用契約」を結びます。雇用契約書は一般的なものではなく、特定技能専用の契約書を使用します。
健康診断を受診
特定技能ビザの申請をする前に、健康診断を受けます。
「健康診断個人票」を病院に持っていき、健康診断を受診します。留学生の場合は、在留資格変更申請をした日から1年以内に健康診断を受診し、健康であることを証明します。
「健康診断個人票」は、法務省のホームページから取得できます。
事前ガイダンスを受ける
勤務時間、給料、休暇などの雇用契約について、就職した後の流れについての説明を、会社から受けます。
これを事前ガイダンスといい、3時間ほどで終わります。
事前ガイダンスは、就職先の会社が登録支援機関に委託している場合があります。その場合は、登録支援機関の担当者から受けることになります。
在留資格の変更に必要な書類を用意する
特定技能へ変更するために必要な書類を用意します。
書類の種類は後述します。
用意する書類は多いので、会社の担当者の協力も得て、用意するようにしましょう。
在留資格変更許可申請を提出する
必要な書類が用意できたら、出入国在留管理局へ提出します。最寄りの管理局での提出に行きます。審査の結果が出るまでには、1ヶ月ほどかかります。
留学生が特定技能のビザに変更する流れは、以上のようになっています。
留学生が特定技能を取得する時の注意点
留学から特定技能へのビザ変更時に、注意すべき点を解説します。
今回紹介する注意点は3つです。これらを抑えていないと、変更の許可が出ない、就職後にトラブルが起きるなど、変更がスムーズに進まなくなるかもしれません。
ぜひ、把握しておきましょう。
1つ目: 就職する企業での業務の確認
自分が就職する予定の企業の業務を確認しておきましょう。
特定技能は、合格した特定技能試験の種類によって、就職できる業種が限られます。
例えば、
「外食産業技能測定試験」に合格した場合、就職できる業種は「飲食店」となります。
なので、就職できる企業は、業務内容が「接客・調理・店舗管理」の企業です。
言うまでもなく、飲食店以外の企業では働くことができません。
また、飲食店に就職したとしても、経理や事務作業を主な業務として働くことはできません。
したがって、
自分が就職する企業の業務内容を確認し、自分が合格した特定技能試験が対応している業務であるかを認識しておいたほうがいいです。
2つ目: 就職する企業は、要件を満たしているか
特定技能制度のもとで外国人を雇用するには、見たすべき要件が複数あります。これをクリアしていない企業に就職してしまうと、トラブルにつながると考えられます。
事前に確認しておきましょう。
受入れ機関(企業)が外国人との「雇用契約」で満たす9つの要件
1. 分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること。
2. 所定労働時間が、同じ受入れ機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること。
3. 報酬額が、日本人が従事する場合の額と同等以上であること。
4. 外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的な取扱いをしていないこと。
5. 一時帰国を希望した場合、休暇を取得させるものとしていること。
6. 労働者派遣の対象とする場合は、派遣先や派遣期間が定められていること。
7. 外国人が帰国旅費を負担できないときは、受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることとしていること。
8. 受入れ機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることとしていること。
9. 分野に特有の基準に適合すること。
受入れ機関(企業)自体が満たすべき基準【13項目】
1. 労働、社会保険および租税に関する法令を遵守していること。
2. 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと。
3. 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと。
4. 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないことなど)に該当しないこと。
5. 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと。
6. 外国人などが保証金の徴収などをされていることを受入れ機関が認識して、雇用契約を締結していないこと。
7. 受入れ機関が違約金を定める契約などを締結していないこと。
8. 支援に要する費用を、直接または間接に外国人に負担させないこと。
9. 労働者派遣の場合は、派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで、適当と認められる者であるほか、派遣先が1~4の基準に適合すること。
10. 労災保険関係の成立の届出などの措置を講じていること。
11. 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること。
12. 報酬を預貯金口座への振込などにより支払うこと。
13. 分野に特有の基準に適合すること。
受入れ機関(企業)の支援体制関係においての要件
受入れ機関の外国人を支援する体制が整っているかを確認するための要件です。
1. 以下のいずれかに該当すること
ア. 過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。以下同じ。)の受入れ、または管理を適正に行った実績があり、かつ役職員の中から、支援責任者および支援担当者(事業所ごとに1名以上。以下同じ。)を選任していること(支援責任者と支援担当者は兼任可。以下同じ)
イ. 役職員で過去2年間に中長期在留者の生活相談などに従事した経験を有するものの中から,支援責任者及び支援担当者を選任していること。
アまたはイと同程度に支援業務を適正に実施することができる者で、役職員の中から、支援責任者および支援担当者を選任していること。
2. 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること。
3. 支援状況に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと。
4. 支援責任者および支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと。
5. 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと。
6. 支援責任者または支援担当者が、外国人およびその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること。
7. 分野に特有の基準に適合すること。
3つ目: 就職する外国人本人が要件を満たしているか
特定技能へ移行する際に、外国人に必要とされる要件を確認しましょう。
以下の9項目です。
1. 18歳以上であること。
2. 健康状態が良好であること。
3. 有効なパスポートを持っていること。
4. 保証金の徴収などをされていないこと。
5. 外国の機関に費用を払っている場合は、その内容を理解し合意していること。
6. 技能試験・日本語試験に合格していること。
7. 素行が不良でないこと。
8. 納税義務を果たしていること。
9. 届出義務を果たしていること。
留学生が特定技能を取得する時の必要書類
留学生が特定技能へ移行するために必要な書類を紹介します。
必要な書類は就職先が
法人であるか、個人であるか
で変わります。
この記事では、法人に就職する場合の必要書類を紹介します。
外国人本人が用意する書類
◯ 写真(縦4cm×横3cm)[3か月以内に撮影したもの]
◯ パスポートおよび在留カードの原本
◯ 履歴書
◯ 技能試験・日本語試験の合格証の写し
◯ 健康診断個人票
◯ 直近1年分の個人住民税の課税証明書および納税証明書
◯ 給与所得の源泉徴収票(上記の「課税証明書」と同一年度分のもの)
◯ 国民健康保険被保険者証の写し
◯ 国民健康保険料(税)の納付証明書
◯ 国民年金保険料領収証書の写し(申請月の前々月までの24か月分)
会社が用意する書類
◯ 登記事項証明書
◯ 役員全員分の住民票写し(マイナンバーの記載なし、本籍の記載あり)
◯ 直近2年分の決算文書の写し
◯ 直近2年分の法人税の確定申告書(控え)の写し
◯ 労働保険料等納付証明書(未納なし証明)
◯ 直近1年分の領収証書の写し
◯ 労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控え)の写し(上記の領収証書に対応する分)
◯ 健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し(申請月の前々月までの24か月分)
◯ 税目を源泉所得税および復興特別所得税、法人税、消費税および地方消費税とする納税証明書
◯ 税目を法人住民税とする納税証明書
◯ 在留資格変更許可申請書
◯ 特定技能所属機関概要書
◯ 1号特定技能支援計画書
◯ 事前ガイダンスの確認書
◯ 支払費用の同意書及び費用明細書
◯ 報酬に関する説明書
◯ 特定技能雇用契約書の写し
◯ 雇用条件書の写し
◯ 徴収費用の説明書
◯ 支援責任者の誓約書
◯ 支援責任者の履歴書
◯ 支援担当者の誓約書
◯ 支援担当者の履歴書
◯ その他、分野別の必要書類(誓約書や営業許可証の写しなど)
※それぞれの書類は法務省による専用書式あり
【トピック】留学生から特定技能への移行が難しい例
留学生から特定技能への移行が難しい例があります。
理由は、留学生として日本に滞在している時期の「アルバイト」にあります。
留学生は資格外活動許可の制限として、アルバイトの時間が週28時間までとされています。夏休みなどの長期休暇期間は1日8時間、週に40時間とされています。
これに反して週28時間以上のアルバイトをしてしまった場合、それが在留資格審査の際に判明し、素行不良として特定技能への変更申請が不許可となることがあります。
資格外活動許可の制限をしっかり守る必要があります。
まとめ
今回は、留学生が特定技能へ移行するための方法を紹介しました。
流れ・必要書類・注意点を知っておけば、安心して外国人を受け入れることができるでしょう。
また、受け入れ予定の外国人が週28時間以上アルバイトしていた場合の対応方法も、把握しておきましょう。