目次
「溶接」と「技能実習」
溶接の仕事
まず溶接とは、
材料を加熱・加圧、または溶加材を利用することで、2つの材料をつなぎあわせる加工技術のことです。
仕事内容は、
自動車の部品、金属アクセサリー、家具、時計など、様々なモノを溶接によって製作することです。溶接工として働くには、資格の取得、作業現場でスムーズに作業するためのスキルが必要になります。
技能実習で溶接の業務につくのであれば、アーク溶接に関する特別教育が必要です。(『技能実習の「溶接(手溶接)」の業務内容』にて後述)
溶接はどこで活躍しているのか
① 機械製造の現場
自動車や重電機など、機械製造の現場では、溶接は欠かせません。製造工場内で各部品に溶接が行われ、その後組み立てられ輸送されます。
部品ごとに溶接作業を行うため、材料のサイズは小さめです。
② 建設現場
機械製造とは違い、用いる材料のサイズは大きめです。
そのため、機械製造より難しい作業をすることになります。
技能実習制度とは
「技能実習制度」とは、
開発途上国などの外国人が来日し、日本で修得した技能・知識を開発途上国へ移転する制度です。
実際は、日本の人材不足の補填となっているように見られる場面があり、問題視されている実態があります。ですが、本来の目的は「日本から開発途上国への国際貢献」です。
技術移転の流れは、まず開発途上国の若者が「技能実習生」となり、日本の企業で就労します(この企業を「受け入れ企業(または機関)」と言います)。この就労を通して日本の技術・知識を修得し、その技術を母国へ持ち帰り、母国での技術発展に役立てます。
以上のような流れで開発途上国の発展を助け、国際貢献を目指します。
「溶接業」であれば、
アーク溶接機による手作業の溶融溶接に関する技術・知識を母国に持ち帰ることになります。
この技能実習制度は2010年まで、「外国人研修制度」という名前で運用されてきました。
しかし、目的外の労働の強要・賃金の未払いなど、さまざまな問題が見られ、本来の趣旨である「国際貢献」に反する運用の実態が問題視されていました。
これらの実態をなくすべく制度の再検討を行い、制度の改正を行いました。
この際に、制度の名称が「外国人技能実習制度」となりました。
技能実習生受け入れの流れ
ここでは、技能実習生受け入れの大まかな流れを紹介します。
まず、技能実習生を受け入れてから、事前に作成し監督省庁に提出した実習計画に沿って実習を行います。
溶接業の場合、実習期間は最大で5年間です。
技能実習1号、2号、3号へそれぞれの基準を満たすことで移行することができます。
受け入れを行う際の準備はたくさんあります。希望する人材の選定や必要な書類の作成・提出、法令によって定められている講習の実施などがあります。
従業員が少ない企業では、全ての手続きを自社で行うのが難しい場合がありますが、安心してください。
実際、全ての手続きを受入れ機関(企業)が行っているケースはあまり見られません。
「監理団体」と呼ばれる外部の専門機関へ委託することが可能で、中小企業など多くの企業が監理団体に委託して運用しています。
監理団体に委託する場合は、以下の流れで技能実習生を受け入れることになります。
◯ 監理団体に加入
◯ 現地(外国)で面談
◯ 現地で教育(講習など)
◯ 日本へ入国
◯ 監理団体での講習
◯ 受け入れ
技能実習の「溶接(手溶接)」の業務内容
溶接(手溶接)における作業の定義は、
「アーク溶接機を使用し、手工業による溶融溶接(融接)を行うこと」です。
溶接は、接合の仕方が「融接」「圧接」「ろう接」の3種類に分類されています。
このうちの「融接」が、いま紹介している「溶接(手溶接)」にあたります。
融接は、
被溶接材(母材)の接合をしようとする部分に熱を加え、母材と溶加材(溶接棒, ワイヤなど)を融合させてできた溶融金属を凝固させて接合する方法です。
必須業務
必須業務とは、技能等を修得等するために必ず行われなければならない業務のことです。技能実習生が修得等をしようとする技能等に係る技能検定、またはこれに相当する技能実習評価試験の試験範囲に基づいた内容となっています。
第1号技能実習
(1)手溶接作業
① アーク溶接機及び付属機器の取扱い作業
② 被溶接材の開先加工, 調整, タック溶接(仮付け溶接)作業
③ 鋼材の下向姿勢での溶接作業(※1)
第2号技能実習
(1)手溶接作業
① アーク溶接機及び付属機器の取扱い作業
② 被溶接材の開先加工、調整、タック溶接(仮付け溶接)作業
③ 鋼材の下向き姿勢での溶接作業(※1)
④ 鋼材・管材の下記姿勢での溶接作業(※2)(1〜5のうち一つ以上を行う)
1.下向姿勢
2.立向姿勢
3.橫向姿勢
4.上向姿勢
5.水平及び鉛直固定管
第3号技能実習
(1)手溶接作業
① アーク溶接機及び付属機器の取扱い作業
② 被溶接材の開先加工、調整、タック溶接(仮付け溶接)作業
③ 鋼材の下向き姿勢での溶接作業
④ 鋼材・管材の下記姿勢での溶接作業(※3)(1〜5のうち2つ以上を行う)
1.下向姿勢
2.立向姿勢
3.橫向姿勢
4.上向姿勢
5.水平及び鉛直固定管
【※1】 実技試験に使用する材料は中板。
【※2】 実技試験に使用する材料は中板或いは中肉管を選択としている。
ただし、下向姿勢を選択する場合は、厚板。
【※3】 実技試験に使用する材料は中板,中肉管、厚板を選択としている。
ただし、下向姿勢を選択する場合は、厚板。
安全衛生業務
安全衛生業務の内容は、1,2,3号全て共通しています。
(2)安全衛生業務
① 雇入れ時等の安全衛生教育
② 作業開始前の安全装置等の点検作業
③ 溶接職種に必要な整理整頓作業
④ 溶接職種の作業用機械及び周囲の安全確認作業
⑤ 保護具の着用と服装の安全点検作業
⑥ 安全装置の使用等による安全作業
⑦ 労働衛生上の有害性を防止するための作業
⑧ 異常時の応急措置を修得するための作業
⑨ 溶接作業に関係する特別教育(※)
(技能実習1号の実務開始前に行うこと。)
⑩ 危険又は有害な業務(溶接作業を除く)に関係する特別教育
(※)特別教育(アーク溶接等の業務)の実施が必要です。(労働安全衛生規則第36条3号)
特別教育に係る学科及び実技教育の内容は、以下のとおりです。
i )学科の科目
◯アーク溶接等に関する知識(1時間)
◯アーク溶接装置に関する基礎知識(3時間)
◯アーク溶接等の作業の方法に関する知識(6時間)
◯関係法令(1時間)
ii )実技教育の内容
◯アーク溶接装置の取扱い及びアーク溶接等の作業の方法(10時間以上)
関連業務, 周辺業務
関連業務とは、必須業務に従事する者が当該必須業務に関連して行う場合のある業務のことです。修得予定の技能等の向上に寄与する内容とされています。
また周辺業務とは、必須業務に従事する者が当該必須業務に関連して通常携わる業務のことです。
(1)関連業務
1. 半自動溶接作業
2. 設計図書の読図作業
3. 破壊試験作業
4. 非破壊試験作業
5. 溶接準備作業及び溶接仕上げ作業
6. ガス溶接作業(作業主任者免許、技能講習が必要です。)
7. ガス溶断作業(作業主任者免許、技能講習が必要です。)
8. スポット溶接作業
9. ティグ溶接作業
10. アルミニウム溶接作業
11. 揚重・運搬機械運転作業(各種機械に応じて特別教育、技能講習等が必要です。)
12. 玉掛け作業(特別教育または技能講習が必要です。)
13. 高所作業車運転作業(特別教育または技能講習が必要です。)
(2)周辺業務
1. 溶接製品の梱包・出荷作業
2. 溶接製品の運送作業(加工場から現場)
3. プラスティック溶接作業
4. ろう付け作業
5. スタッド溶接作業
6. 溶接製品の錆(さび)止め作業
(3)安全衛生業務
必須業務の安全衛生業務と同じ内容です。
技能実習の「溶接(半自動溶接)」の業務内容
溶接(半自動溶接)の作業の定義は、
「半自動アーク溶接機を使用し、手工業による溶融溶接(融接)を行う」ことです。
溶接は、接合の仕方により「融接」「圧接」「ろう接」に分類されます。
いま解説している「溶接(半自動溶接)」は、「融接」にあたります。
融接は、被溶接材(母材)の接合する部分に熱を加え、母材と溶加材(溶接棒、ワイヤなど)を融合させます。これによってできた溶融金属を凝固させてできた接合する方法です。
必須業務
第1号技能実習
(1)半自動溶接作業
① 半自動アーク溶接機および付属機器の取扱い作業
② 被溶接材の開先加工、調整、タック溶接(仮付け溶接)作業
③ 鋼材の下向姿勢での溶接作業(※1)
第2号技能実習
(1)半自動溶接作業
① 半自動アーク溶接機および付属機器の取扱い作業
② 被溶接材の開先加工, 調整, タック溶接(仮付け溶接)作業
③ 鋼材の下向き姿勢での溶接作業(※1)
④ 鋼材・管材の下記姿勢での溶接作業(※2)
<以下の1〜5のうち一つ以上を行います。>
1.下向姿勢
2.立向姿勢
3.橫向姿勢
4.上向姿勢
5.水平および鉛直固定管
第3号技能実習
(1)半自動溶接作業
① 半自動アーク溶接機および付属機器の取扱い作業
② 被溶接材の開先加工、調整、タック溶接(仮付け溶接)作業
③ 鋼材の下向き姿勢での溶接作業
④ 鋼材・管材の下記姿勢での溶接作業(※3)
<1〜5のうち2つ以上を行います。>
1.下向姿勢
2.立向姿勢
3.橫向姿勢
4.上向姿勢
5.水平および鉛直固定管
<※1 実技試験に使用する材料は中板。>
<※2 実技試験に使用する材料は中板、あるいは中肉管を選択します。ただし、下向姿勢を選択する場合は、厚板を選択します。>
<※3 実技試験に使用する材料は中板,中肉管, 厚板を選択します。ただし、下向姿勢を選択する場合は、厚板を選択します。>
安全衛生業務
安全衛生業務の内容は、1,2,3号全て共通しています。
① 雇入れ時等の安全衛生教育
② 作業開始前の安全装置等の点検作業
③ 溶接職種に必要な整理整頓作業
④ 溶接職種の作業用機械および周囲の安全確認作業
⑤ 保護具の着用と服装の安全点検作業
⑥ 安全装置の使用等による安全作業
⑦ 労働衛生上の有害性を防止するための作業
⑧ 異常時の応急措置を修得するための作業
⑨ 溶接作業に関係する特別教育(※)
(技能実習1号の実務開始前に行う必要があります。)
⑩ 危険又は有害な業務(溶接作業を除きます)に関係する特別教育
(※)特別教育(アーク溶接等の業務)の実施が必要です。(労働安全衛生規則第36条3号)
特別教育に係る学科及び実技教育の内容は、以下のとおりです。
i )学科の科目
◯アーク溶接等に関する知識(1時間)
◯アーク溶接装置に関する基礎知識(3時間)
◯アーク溶接等の作業の方法に関する知識(6時間)
◯関係法令(1時間)
ii )実技教育の内容
◯アーク溶接装置の取扱い及びアーク溶接等の作業の方法(10時間以上)
関連業務, 周辺業務
(1)関連業務
1. 手溶接作業
2. 設計図書の読図作業
3. 破壊試験作業
4. 非破壊試験作業
5. 溶接準備作業及び溶接仕上げ作業
6. ガス溶接作業(作業主任者免許、技能講習が必要です。)
7. ガス溶断作業(作業主任者免許、技能講習が必要です。)
8. スポット溶接作業
9. ティグ溶接作業
10. アルミニウム溶接作業
11. 揚重・運搬機械運転作業(各種機械に応じて特別教育、技能講習等が必要です。)
12. 玉掛け作業(特別教育または技能講習が必要です。)
13. 高所作業車運転作業(特別教育または技能講習が必要です。)
(2)周辺業務
1. 溶接製品の梱包・出荷作業
2. 溶接製品の運送作業(加工場から現場)
3. プラスティック溶接作業
4. ろう付け作業
5. スタッド溶接作業
6. 溶接製品の錆止め作業
(3)安全衛生業務
必須業務の安全衛生業務と同じ内容です。
まとめ
今回は、技能実習「溶接職種」について紹介でした。
専門的な内容の修得、細かい作業への集中力が求められる職種であり、誰にでも任せられる仕事ではありません。
溶接職種に向いている人、具体的な業務内容を把握した上で、
日本の溶接業に役立つような採用や実習を進めていきましょう。
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- 執筆者
- 外国人労働者ドットコム編集部
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