送出機関のYAKUSHINKAI (CAMBODIA) CO., LTD.について、学校長:松倉 洋海様にインタビューさせていただきました。主な質問内容として、 「送出機関とは何か」「どんな事業をしているか」「なぜ今の仕事を始めたのか」「コロナの影響」「受入れ企業の成功・失敗事例」「雇用のポイント」「仕事での苦労」「将来の展望」「アピールポイント」などの切り口から、YAKUSHINKAI (CAMBODIA) CO., LTD.についてお話しいただきます。

―― 送出機関とは何ですか?

松倉:送出機関とは海外で技能実習生制度を利用して日本へ行きたい若者たちに、日本語教育を始め、様々な教育を行い、日本へ入国するまでサポートをする機関のことです。

―― どんな事業をしていますか?

松倉:弊社はカンボジアで、日本に働きに行きたい技能実習生達を対象に日本語教育を含めて教育する学校を運営してます。日本入国後は、監理組合と協力して実習生のサポートを行っています。

収入を通して、カンボジアでの社会貢献活動にも力を入れており、孤児院の支援や、地方の学校の運営費の支援やアドバイス、高校進学のための奨学金支援も実施しています。

―― 松倉様はなぜ今の仕事を始められたのですか?

松倉:日本を通して、自分の人生を変えて、社会人の基礎を作りたいというカンボジアの人たちに安心安全で信頼できる教育環境を作りたかったからです。

カンボジアという国は内戦があった国でポルポト政権によって、学校の先生のほとんどを殺されてしまい、教育が崩壊されてしまった国です。多くの国民が良い教育環境にあったとは言えない状況の国です。

私は2006年からカンボジアに住んでいます。以前、カンボジアで学校建設の仕事をしていました。学校を建てることが、内戦復興のカンボジアの発展に繋がると思っていましたが、学校建設後に、授業を見た時に、もっと教育のソフトの支援をしないと駄目だと感じました。

学校が不足しているのは事実ですが、学校だけ建て続けることは、ソフトの入っていないコンピューターをプレゼントしていることに近いものがあると感じてしまい、教育のソフトが大切だと気づきました。

そこで、もっと教育の中身(ソフト)を支援したいと思って、教育支援のNGOの現地事務所の事務局長として8年間働いて、師範大学の先生の教え方の質を向上させるプロジェクトを担当したり、教育省の役人さんを再教育するための大学院をカンボジアに作る活動を担当していました。

活動自体は、政府からも評価していただき順調でしたが、個人的に、そろそろカンボジア人が自立する時期に来ていると考えていました。それは、支援されることに段々慣れてきてしまっているカンボジアの人を見聞きする機会が増えてきたことも理由の1つです。カンボジアの発展の次の段階として、自らの労働の対価として、お金を得て欲しいという思いが湧いてくるようになりました。

また、私自身も大きな事業ではなく、もう少し現場に近いところで、カンボジアの教育に携わりたいと感じるようになってきていました。ポルポト時代に教育を破壊されてしまい、満足な教育環境にない人たちに、自分を変えたい、日本を通して人生を変えたい、と考える若者に再教育をしたいと考えるようになりました。

学校建設から始まって、教育の中身(ソフト)の支援の延長上に、彼らの自立の選択肢の1つとして、実習生の送出機関の学校を立ち上げることにしました。

カンボジア人の実習生たちは1年間で平均100万円程度の貯金をして仕送りをしています。弊社では年間100人程度を送り出しているので、年間1億円がカンボジアの国内に労働の対価としてお金が入ってきます。3年間の実習期間で同時に300人の実習生がいると考えると、年間3億円がカンボジアの農村部に入ってくる計算になります。これだけのお金が途上国の農村部に流れていくことは、ある意味では、下手なNGOよりも地域の経済に影響を与えているし、貢献できる可能性があると感じています。

―― コロナの影響はありますか?

松倉:まず一つ目はカンボジアから出国できなかったことが挙げられます。受入企業が決まっている技能実習生のビザ発給を日本政府の水際対策の影響で停止されてしまい、出国間近の技能実習生達が出国できませんでした。

しかし、既にカンボジアの実習生の入国は10月から再開されており、カンボジアに限って言えば今は実習生の入国に全く問題なくなったので、それは解決した課題でもあります。

他国と違ってカンボジアは日本に入国にあたって、PCR検査も必須ではないので、そういう意味では、他国と比べてコロナの影響を最小限に抑えられている国であり、技能実習生の送出し国の中で日本への入国条件のハードルが1番低い国になっています。

その他の影響としては、採用面接に関して、受入れ企業様が現地に来ることが難しくなっており、オンライン面接が主流になっていることがコロナで変わったことです。

現地に来れない受け入れ企業様が実習生をよく見て選考いただけるように、事前にビデオで体力の試験、模擬面接の様子、細かい職種に合わせた試験を実施して、ビデオに撮ってデータを送るようになりました。

オンラインの採用面接を実施する前に、ビデオで応募者の様子を何度も確認出来ることで、ある意味実習生を更にじっくり見る機会を作ることが出来たのではないかというプラスの影響もありました。

―― 外国人労働者の受入れ企業の成功事例はありますか?

松倉:食品製造の会社で、カンボジア人の実習生を入れたときに、実習生たちが仕事を覚えられず、コミュニケーションも取れないので作業効率が悪い、ということでクレームのようになってしまい、話しを聞いても原因がわかりませんでした。

実際に私がクメール語の通訳も兼ねて、日本の会社の工場に行かせていただいたところ、作業の指示用語は、日本人のスタッフによって言い方が違ったり、道具の名前も社内で一律化されてなかったり、作業も標準化されておらず、各日本人スタッフによって作業の基準もバラバラでした。

こうした環境では、技能実習生達が最初に配属された時の負担が大きいということに気づきました。そこで、受入れ企業と相談して、社内の用語を統一したり、作業の標準化をお願いして、受入れ企業と協力して資料作りなどを行いました。

そのお陰で、入国直後は作業効率も悪かった技能実習生達も作業をスムーズにでききるようになり、作業効率も上がっていきました。

今では、その受入れ企業様に2期生も採用していただき、実習生の2期生の配属時の負担を軽減することが出来たことが成功事例かなと思っています。

―― 外国人労働者の受入れ企業の失敗事例はありますか?

松倉:建設の会社さんで、実習生によるミスが続いた時に軽く頭をコツンと叩いたら、それをすごく気にしてしまって精神的に落ち込んでしまった実習生がいました。

それを企業さんに「頭を触られるだけでも東南アジアでは失礼になる」と話をしました。頭に神聖なものが宿るという考えに基づいて彼らは生きているので、本気で殴ってるわけではないけど、ふざけることや、軽いジェスチャーであったとしても、気をつけてほしい、ということを共有しました。

他にも、日本人で多いのが、これができないのだったら「帰国した方がいいよ」みたいなことを軽く言う従業員がいたりするので半分本気、半分冗談で言ってるような感じだと思いますが、それを言うことで強制的に帰国させられると思って精神的に追い詰められる人がいるので、そういったことで、学生と従業員の間で壁ができてしまったことがあったのは失敗事例ですかね。

どちらの事例も受入れ企業の社長さんには必ず注意点として採用時にお伝えする話ですが、日本人の従業員には配属時に説明がなされておらず、相手にその気はなかったのかもしれませんが、パワハラであるということを理解してもらいたいところではあります。

―― 外国人労働者の雇用のポイントは何かありますか?

松倉:コロナ前は採用面接の際に、企業の担当者に弊社の学校に来ていただいて、実際にカンボジアという国と学校の様子を見ていただくようにお願いしてきました。

現地に訪問してみないと、なかなか伝わらないところもありますし、入国した後に想像していた実習生と違った、というのがあったりすると大きな問題になるからです。

しかし、どんなに採用面接をしっかりとやったとしても、多少の当たり外れというか伸び悩む子が出てしまうのも一定の割合で仕方がないことであり、受入れ企業様には、会社で誰が来てもある程度、仕事ができるように仕組み作りをしていただくことが一番大事なことかと思います。

仕組み作りをしないと、優秀な人材が来た時だけマンパワーで活躍して、能力が高くない技能実習生が来た時に企業の戦力にならなかったら、お互いに嫌な思いをして3年間を過ごすことになると、お互いにとって不幸です。

優秀な人が来て良かった、で済ませたらもったいないので、どんな技能実習生が来ても、しっかり働けるような受け入れ体制や、仕組み、事前準備をしていかなければいけないです。

弊社の場合は受入れ企業の担当者に採用面接の時に、東南アジアへの理解や、技能実習生への理解を深めて帰ってもらえるように話をしているのですが、結局その社長さんや採用担当者に学んでいただいたことが、日本に帰ったときに他の従業員に伝わってないことが、多々あります。

従業員は、日本人の雇用と頃と比べて実習生の雇用では負担が明らかに大きくなります。つまり、日本人の従業員の給与や責任は、実習生が来ても同じままですが、実習生の受入れ管理をする分だけ、日本人の従業員の負担が増えてしまいます。

外国人は日本人と全く同じではないので、そうすると日本人従業員もストレスが溜まってきて悪循環になってしまいます。
もっと外国人が活躍できるように従業員の方も相手の国のことや、実習生のことをしっかり理解した上で、実習生だけではなく、実習生と一緒に働く日本人のケアも含めて、組織として受入れ体制の構築を考えていかなければいけない時期にきています。

少し勘違いしてしまっている人とかは、技能実習生が日本に来られて仕事ができるだけで幸せだろう、頑張って当然だろ、と思ってる人もいるかもしれないですが、実際にカンボジアなど、東南アジアの国々で日本に行くのは一番人気というわけでないので、やっぱり他の国の方が稼げるし、仕事も種類も多かったり、長期雇用してもらえたりするので、その中で日本を選んでくれたという事実だけもでも、我々日本人として感謝しないといけないし、もっと他国の状況にも目を向ける必要があるかと思います。

日本の会社が監理団体や送出機関と連携して、技能実習生にしっかりと仕事をしてもらえる環境を整えていくことがすごく重要じゃないかなと思います。

―― カンボジア人の働く中で人気な国はどこになりますか?

松倉:カンボジアの中だと、一番人気は韓国です。おそらく、他の送出し国の中でも韓国が一番人気の国が多いと思います。手取りが良いし、職種変更も可能で、最大10年働けて、政府のサポート体制が構築されています。

また、労働者として入れるので、細かい技術移転をしなくて良いから、受入れ職種の幅が広いですね。

韓国語を覚えると、給料も最低賃金ではなく、どんどんステップアップしていけるという制度が整っています。日本の閉鎖的な実習生制度と比べると、どこの国の人も韓国に魅力を感じるということがあると思います。

今はコロナの影響で多少数字が変わっていると思うのですけど、コロナ前だと、韓国に行くための試験の倍率が大体20倍ありました。日本に行くのは3倍くらいの倍率です。

そういう面でも日本という国の魅力がどんどん低下しており、外国人が絶対に日本で働きたい、という時代ではないということを日本人一人一人が理解して、外国人を受け入れていかなければならないと思います。

日本人も色々な国から技能実習生を採用していますが、技能実習生を送出し国からしても、受入れ国のことを見ているし、選んでいます。日本人と技能実習生の両者間のギャップは大きいと感じています。

他の国でもっと割の良い仕事もある中で日本を選んでくれたのは、給与面以外に他の国で得られない何かを得られるメリットを感じて希望を持ってき入国して来た実習生も大勢います。

会社として技能実習生の受け入れ体制が出来てなおらず、できる技能実習生だけが仕事を覚えたけど他の人ができない状態であるなら、組織や体制を見直す必要があると思います。

―― 仕事で苦労したエピソードなどはありますか?

松倉:まだ弊社は立ち上げて間もなく、実際に学生を受け入れたのは2017年の中頃からですが、最初の頃は監理団体とのコネクションもまったくなく会社を立ち上げたので、採用面接を安定して入れていくのに非常に苦労しました。

弊社がいくら真面目に教育を頑張ります、と言っても、実績がなければ誰も信じないので、少しずつ実習生を送り出しながら実績を作って、信頼関係を築いていくしかなかったです。

本当に最初は受入れ企業が全然見つからず、技能実習生にも「なんで日本語を勉強したのに日本に行けないんですか」と泣かれてしまったこともありました。

弊社の場合、事前教育で採用試験に合わせて学生を入れるのではなく、毎月クラスを開講して、事前に勉強しながら採用試験を待つという形なので、採用試験がないと何のために勉強してるのか分からなくなってしまう学生の気持ちも分かります。

どこの監理組合からも、実績がないと信用してもらえず、苦労しました。

今は送り出した子達の評判が良く、2期生、3期生と受け入れていただいたり、知り合いの会社さんや監理組合から他国からの切り替え案件を紹介してもらい、受け入れ先が少しずつでも確実に広がってくるようになりました。

―― 将来の展望はありますか?

松倉:カンボジアだと、ベトナムなどの大きい国と比べて、まだまだ送り出しの人数も少ないですし、教育施設も限られていますので、もう少し技術的なことや、日本語以外も教えられるような施設と運営ができるようになっていくと良いと考えています。

今は借地で学校を運営していますが、近くに会社の土地を購入して、安定的に収益が上がるようになったら、職業訓練が出来るような施設もある学校を作って行ければと思います。

事業で得た収入を通して、支援事業として孤児院の支援、地方の学校の運営費のサポートとアドバイス、高校進学のための奨学金支援を行ってきており、会社立ち上げ当初からカンボジアの社会課題に対する支援活動を継続して行っていきたいと考えています。

今、日本の企業に少しずつ注目を集めるようになってきたカンボジア人実習生ですが、そうは言ってもブームが去った後に、カンボジア実習生を採用する企業は限られてくると思うので、ブームが去って多くの企業が他国に流れた時でも、弊社の学校だけは違うと言っていただき、長いお付き合いが出来るように、しっかりとした教育を実践して地道に真面目に教育の質を高めていくことが大事だと考えてます。

―― 利用者に向けてのアピールポイントはありますか?

松倉:弊社は日本に法人があり、現地法人は私の妻が社長で、私が学校長で夫婦で運営しています。日本人は、学校長の私以外にも2人の日本人が常駐しており、カンボジア人のスタッフも多めに採用して、少人数のクラスで、細かく学生を教えていくのが弊社の強みかと思っています。

日本人の先生と毎日会話できるようにカリキュラムを作ったり、クラスだけじゃなくて個別に日本人の先生と会話の練習が出来るように調整しています。

また実習生の配属後も監理団体だけに管理を任せずに、出来る範囲で協力しながら管理をしています。弊社独自で企業巡回や学生訪問などの機会も作るようにしています。

まとめ

送出機関のYAKUSHINKAI (CAMBODIA) CO., LTD.について、学校長:松倉 洋海様は、カンボジア人、企業に対して真摯に対応されており優良な送出機関だとインタビューを通して感じました。

これから、外国人労働者の雇用について検討されている場合は、YAKUSHINKAI (CAMBODIA) CO., LTD.に相談されるのも1つの選択肢になるのではないかと思います。

送出機関:YAKUSHINKAI (CAMBODIA) CO., LTD.の基本情報

詳細情報やお問い合わせ先は以下のリンク先ページにてご確認ください。

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