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全般

食品製造業で外国人労働者を雇う際、適切な在留資格を選択することが極めて重要です。この記事では、食品製造業での外国人雇用に適した在留資格に焦点を当て、その種類と詳細について解説します。食品製造業で外国人労働者を雇用できる在留資格は7つに分類でき、①技術・人文知識・国際業務、②高度専門職、③特定活動、④技能実習、⑤特定技能、⑥身分に基づく在留資格、⑦資格外活動があります。これらの在留資格の特徴を理解し、外国人労働者の採用に繋げていきましょう。

食品製造業の人手不足の現状

2021年に食品製造業の有効求人倍率は2.19倍に達し、これは極めて高いレベルです。有効求人倍率とは、1人の求職者に対して提供されている求人の数を表す指標で、就業の難易度を示します。この数値が高ければ高いほど、求人を見つけるのが難しい状態を意味します。同時期における全産業の有効求人倍率は1.16倍であり、この数字と比較すると、食品製造業界の有効求人倍率が非常に高いことが分かります。

労働人口の減少

日本は少子高齢化が進む中で、労働人口が減少する傾向にあります。特に製造業では、過去20年間で約157万人の就業者数が減少し、食品製造業では特に求職者の就業意欲が低いため、人材獲得が難しい状況にあります。

コロナウイルスで外国人労働者が減少

コロナウイルスの流行が原因で設けられた入国規制や帰国命令などの措置により、日本における外国人労働者の数が顕著に減少しました。この外国人労働者の減少は、特に労働力不足に悩む食品製造業界に大きな影響を及ぼしました。食品製造業は、多くの部分で外国人労働者に頼っており、外国人労働者数の減少は業界の人手不足をさらに悪化させる結果となりました。

3Kのマイナスイメージ

食品製造業界でも「きつい」「汚い」「危険」という、俗に言う3Kと呼ばれる否定的な印象を持たれがちで、これが特に若い労働者による敬遠の原因となっています。食品製造業における人手不足は、過剰な労働や休暇の取りづらさなど、マイナスイメージを持つ人が多い状況が続いていることも一因です。このような否定的な見方が人材不足の問題をさらに悪化させ、人材獲得の難しさを増しています。

「在留資格」とは何か?

「在留資格」とは、外国人が日本国内で合法的に生活や活動を行うために必要な公的な資格を指します。この資格は、日本での滞在目的や活動の性質、さらには個人の状況(例えば配偶者や子どもの有無など)に基づいて決定され、全29種類が存在します。一般的には「ビザ」という用語で知られており、このビザによって外国人は日本での生活を合法的に営むことができます。

在留資格は外国人の日本での生活や仕事に直接関わり、その人が日本でどのような活動を行うかによって異なる資格が割り当てられます。就労を目的とする場合、在留資格には特定の業種で働くことが許可されているものもあります。このため、外国人は日本での滞在期間中、自身の状況や目的に応じて在留資格の変更が可能な場合があります。

特に、食品製造業などで外国人労働者を採用する際には、その労働者が持つ在留資格が仕事の内容に適しているかを慎重に検討する必要があります。適切な在留資格を持つ労働者を選ぶことは、合法的な雇用に不可欠です。採用時においては、採用された外国人労働者が適切な在留資格を持っていることを出入国在留管理庁に報告することが義務付けられています。したがって、食品製造業で外国人を内定する前に、その人の在留資格が職務に合致しているかを確認するのは重要です。

全29種類の在留資格一覧

この記事でご紹介している食品製造業で外国人労働者の就労可能な代表的な在留資格を太字で示しています。

在留資格で認められた範囲内で就労が認められている在留資格
・高度専門職1号・2号
・技術・人文知識・国際業務
・技能実習1号・2号
・特定技能1号・2号
・介護介
・技能
・医療
・経営・管理
・企業内転勤
・教授
・芸術
・宗教
・報道
・法律・会計業務
・研究
・教育
・興行
・外交
・公用

就労の可否は指定される活動による在留資格
・特定活動

原則は就労が認められない在留資格
・留学
・家族滞在
・文化活動
・短期滞在
・研修

身分に基づく在留資格
・永住者
・日本人等の配偶者
・永住者の配偶者
・定住者

食品製造業で外国人労働者を雇用できる?

食品製造業で外国人労働者の雇用は可能です。
外国人労働者の就労可能な代表的な在留資格について7項目をご紹介します。

在留資格①高度専門職

「高度専門職」の在留資格は、日本の経済成長を促進する目的で設計された制度であり、高い専門性を持つ優れた外国人専門家を日本へ積極的に招き入れることを目指しています。この制度の特徴は、候補者の教育背景、職務経験、収入などを数値化し、評価する「高度人材ポイント制度」を採用している点です。この評価制度により、専門知識や技術力が高い人材を効率的に識別し、日本の各産業や経済全体の向上に貢献できる人材を選出できるようになっています。

食品製造業での外国人雇用において、「高度専門職」の在留資格を得るためには、専門的な知識や技術を持ち、「技術・人文知識・国際業務」に関連する職務に従事するとともに、ポイント制の基準を満たす必要があります。しかし、この資格での職務は翻訳や通訳を主な業務とすることは許可されていないため、品質管理やマーケティング、人事、営業などの専門職に限定されます。

また、「高度専門職」の在留資格の取得を目指す際には、職務内容に関する虚偽の申告は厳禁です。もし翻訳や通訳が主業務である場合は、「技術・人文知識・国際業務」や「特定活動」の資格申請が適しています。

在留資格②技術・人文知識・国際業務

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、自然科学や人文科学分野の専門知識を持つ、大学レベルの教育を受けた外国人が日本で専門職や国際的な業務に従事することを可能にするものです。この資格を有することで、自国の文化や特有の感性を生かした業務に就くことができます。

特に食品製造業での外国人雇用においては、この資格が翻訳・通訳、品質管理、本社スタッフなどの職種に対する採用を可能にします。また、工場や配送センターでの実地研修も、短期間に限り認められています。

食品製造業では、理系または文系の背景を持つ人材が異なる部署間で移動することも予想されます。例えば、研究開発からマーケティング部門への異動や、開発経験を基にした営業活動などがあります。この種の多様な活動は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つことでスムーズに行うことができ、在留期限更新時には現在の職務内容に基づいて申請が可能です。

在留資格③技能実習

技能実習制度は、主に開発途上国からの人材に対し、日本での高度な技術や知識の修得を通じて、開発途上国の人々の社会や経済の発展に貢献できるよう支援することを目的としています。技能実習生は、日本での研修を開始する際、最初の2ヶ月を座学での基本教育に充てられ、技能実習2号や3号への移行は、各段階での技能評価試験の合格が前提となります。

食品製造業界においては、11の指定された職種で技能実習が可能です。これにより、技能実習生は限定された範囲内で専門的な技術や知識を学び、自国への帰国後、学んだ技術を活用することが期待されています。

食品製造関係の11職種としては、缶詰巻締、食鳥処理加工業、加熱性水産加工食品製造業、非加熱性水産加工食品製造業、水産練り製品製造、牛豚食肉処理加工業、ハム・ソーセージ・ベーコン製造、パン製造、そう菜製造業、農産物漬物製造業、医療・福祉施設給食製造があります。

在留資格④特定技能

「特定技能」は、2019年に導入された新たな在留資格であり、日本国内で労働力不足が認められる12の業界で外国人労働者が働くことを可能にします。「特定技能」の在留資格を持つことで、食品製造業などで工場ライン作業に携わることが認められ、許可された在留期間は最長で5年までです。

特定技能の12分野としては、介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、外食業、飲食料品製造があります。

重要な点として、この資格では「技術・人文知識・国際業務」の在留資格と異なり、応募者の教育背景は評価の主な要素ではありません。そのため、製造業界などで即戦力が必要な場合、「特定技能」保持者の採用が効果的な解決策となります。

さらに、「特定技能1号」に関しては、「技能実習2号」からの直接移行が認められており、これにより技能実習を終えた外国人が、原則として帰国する代わりに、特定技能の資格を取得し日本での就労を継続する道が開かれます。「特定技能」は、日本で引き続き働きたいと考える外国人にとって大きなメリットを提供します。

在留資格⑤特定活動

「特定活動」の在留資格は、既存の在留資格の範囲には含まれない独特の活動を行う外国人に割り当てられるものです。

食品製造業で外国人を雇用する際、「特定活動」の在留資格を持つことで、「技術・人文知識・国際業務」に関連する仕事に加え、配属後も製造ラインでの作業に従事することが認められます。しかし、この資格には単純業務のライン作業を超えた役割が期待されており、「技術・人文知識・国際業務」に関わる業務を組み合わせて行うことが基本となっています。従って、専門性を伴わない単純作業のみに従事することは、この資格の趣旨に反します。

この「特定活動」の在留資格により、工場での製造ライン作業に加え、技能実習生の指導や通訳業務など、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格ではカバーされないより幅広い活動が可能になる点が特長です。

⑥資格外活動

外国人が「留学」、「家族滞在」、「文化活動」の在留資格で日本に滞在している場合、アルバイトを行うには「資格外活動許可」を取得する必要があります。この許可により、留学生や家族滞在の外国人がアルバイトをすることが認められていますが、週28時間までの労働制限が適用されます。

職種や業種に関する具体的な制限は設けられておらず、食品製造業など様々なアルバイトに参加することが可能です。これにより、留学生は学業や家庭生活を続けながら、柔軟に仕事を組み合わせることができます。

⑦身分に基づく在留資格

外国人が「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」のいずれかの在留資格を保有している場合、製造業を含めた任意の業種での就労が可能となります。これらの資格は、就労における広範囲な自由を提供し、日本国内での職選びにおいて大きな柔軟性を与えています。

まとめ

食品製造業の人手不足の現状
・労働人口の減少
・コロナウイルスで外国人労働者が減少
・3Kのマイナスイメージ

「在留資格」とは何か?
「在留資格」とは、外国人が日本国内で合法的に生活や活動を行うために必要な公的な資格を指します。

食品製造業で外国人労働者を雇用可能な在留資格の種類
①高度専門職
②技術・人文知識・国際業務
③技能実習
④特定技能
⑤特定活動
⑥資格外活動
⑦身分に基づく在留資格

食品製造業が直面する人手不足の課題は、少子高齢化による労働人口の減少、コロナウイルスによる外国人労働者数の減少、そして業界へのマイナスなイメージによって悪化しています。このような状況の中、食品製造業で外国人労働者を雇用することは、日本国内の人手不足という課題に対処する有効な手段の一つです。

この記事では、食品製造業での外国人雇用に適した在留資格について詳しく解説しました。食品製造業での外国人労働者雇用には、①技術・人文知識・国際業務、②高度専門職、③特定活動、④技能実習、⑤特定技能、⑥身分に基づく在留資格、⑦資格外活動の7項目の在留資格を正しく理解する必要があります。

この記事を参考に、在留資格の特徴を理解し、外国人労働者の雇用を戦略的に行うことが重要です。

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執筆者
外国人労働者ドットコム編集部

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