外国人技能実習機構とは?
外国人の技能・技術・知識の習得と習熟に関して、
技能実習の適正な実施、技能実習生の保護を行います。
開発途上地域等への技能などの移転による国際協力を
技能実習制度における人材育成を通じて推進していくことを目的としています
外国人技能実習機構は、技能実習法のもと
法務大臣および厚生労働大臣の認可を受けて設立された法人です。
本部事務所は東京にあり、全国に地方事務所・支所が13ヶ所あります。
(札幌、仙台、東京、水戸、長野、名古屋、富山、大阪、広島、高松、松山、福岡、熊本)
各地域の監理団体や実習実施者に対する実地検査、
技能実習計画の認定、技能実習生からの相談対応等の業務を行っています。
組織の内部について
本部事務所
東京にある本部事務所です。
ここには、総務部、国際部、監理団体部、技能実習部の4つの部署があります。
◯総務部
機構の庶務・人事・会計経理等を行います。
◯国際部
外国機関等からの照会対応、送出機関情報の収集・管理、二国間取決めに基づく定期協議を行います。
◯監理団体部
監理団体等の指導監督(報告要求、実地検査等)に係る業務の
運用管理、監理団体の許可等に係る調査業務を行います。
◯技能実習部
技能実習計画の認定に係る業務の運用管理、技能実習継続支援、母国語相談等を行います。
地方事務所
全国に13ヶ所ある地方事務所および支所です。
総務課、指導課、認定課の3つの課があります。
◯総務課
地方事務所の庶務を行います。
◯指導課
報告要求、実地検査などの監理団体等の指導監督を行います。
◯認定課
技能実習計画の認定に関する業務、技能実習生からの申告・相談対応等を行います。
外国人技能実習機構の業務・役割
主な業務は以下の7点です。
◯ 技能実習計画の認定
◯ 実習実施者・監理団体への報告要求、実地検査
◯ 実習実施者の届出の受理
◯ 監理団体の許可に関する調査
◯ 技能実習生に対する相談・援助
◯ 技能実習生に対する転籍の支援
◯ 技能実習に関する調査・研究
技能実習計画の認定
技能実習計画の認定を地方事務所・支所が受け付けます。
技能実習制度の趣旨・目的に従って技能等の移転を図るためには、
受入れ企業の実習実施者によって行われる実習内容が、「技能実習生の技能修得」にとって適切な内容でなければいけません。
そのため技能実習法では受入れ企業の実習実施者が、
技能実習生ごと、かつ技能実習の段階(1号、2号、3号)ごとに技能実習計画を作成します。
作成された技能実習計画の目標・内容が適切なものであるかについては、
外国人技能実習機構による確認・認定を通して判断されます。
技能実習は、この認定された技能実習計画に基づいて行われます。
技能実習計画認定までの流れ
①実習実施者・監理団体による技能実習計画の作成
作成できたら、実習実施者が外国人技能実習機構へ認定申請
②外国人技能実習機構による計画内容・受入体制の適正性等を審査
【計画内容が認定基準に適合するかを審査】
・取り扱う技能が、技能実習生の母国において修得等が困難な技能等であるかどうか
・1号、または2号の技能実習計画で定めた技能検定、または技能実習評価試験に合格しているかどうか
【受入れ企業(実習実施者がいる企業)が欠格事由に該当しないこと】
・一定の前科がないこと
・5年以内に認定取消しを受けていないこと
・5年以内に出入国、または労働に関する法令における不正・著しく不当な行為をしていないことなど
以上の事項をクリアしていれば、技能実習計画の認定を受けることができます。
③技能実習生(監理団体が代理で行う場合もあり)による、在留資格認定証明書の交付申請等
④法務大臣(地方出入国在留管理局長)による、在留資格認定証明書の交付等
注: 新規に入国する場合等は日本大使館等へ査証申請が必要
これらの過程を経て、技能実習計画および技能実習生の受入れが行われます。
実習実施者・監理団体への報告要求、実施検査
技能実習法上、外国人技能実習機構は
実習実施者や監理団体等に対して検査することが認められています。
主な検査内容は、以下の3点です。
・報告や帳簿書類の提示を求めること
・質問すること
・設備や帳簿書類を検査すること
これらの検査を通して、認定計画通りに技能実習が行われているか、
監理団体の業務の実施に関する基準が守られているかなどが確認されます。
機構は、監理団体に対しては1年に1度くらいの頻度で、
実習実施者に対しては3年に1度くらいの頻度で検査を行っています。
なお、検査において虚偽の回答を行うなど、不審な行動が見られた場合には技能実習計画の認定の取消事由となります。
また調査への協力が見られない場合には、「技能実習計画の認定に必要な情報が得られないこと」を理由に、
技能実習計画が認定されないことがあるため、注意が必要です。
【検査の一般的な流れ】
まず、機構本部指導課(または機構地方事務所指導課)による実地検査が
全国の実習実施者および監理団体に対して行なわれます。原則予告なしに行われます。
その後、法令違反が認められるか否かで流れが異なります。
1. 法令違反が認められなかった場合
◯ 無事に指導が終了します。
2. 法令違反が認められた場合
◯ 文書指導
機構からの文書を通して、改善勧告・改善指導が言い渡されます。
◯ 再度の検査、改善勧告による確認等
場合によっては再度の検査なしで、行政処分等がなされることもあります。
2-1. 改善された場合
指導が終了します。
改善前の状態がひどく悪質であった場合は、改善しても行政処分等がなされることがあります。
2-2. 改善されなかった場合
行政処分等がなされます。
行政処分等は技能実習法に基づき、
実習実施者に対しては出入国在留管理庁長官および厚生労働大臣が、
監理団体に対しては法務大臣および厚生労働大臣が行います。
処分の内容は主に以下に3点です。
◯ 重大な許可・認定基準違反、法令違反等がある場合、認定・許可の取消等を行います。
◯ 許可基準違反や法令違反に対し、期間を定めて業務停止の命令(監理団体のみ)を行います。
◯ 技能実習法を含む出入国・労働関係法令における違反がある場合、期限を定めて改善を命令します。
実習実施者の届出の受理
技能実習生への在留許可が出た後、技能実習を開始する際に、実習実施者は機構へ
「実習実施者届出書」を提出する必要があります。
提出後、機構から実習実施者へ「実習実施者届出受理書」が交付されます。
監理団体の許可に関する調査
監理事業を行おうとする者は、主務大臣(法務大臣・厚生労働大臣)の許可を受ける必要があり、
それに先立ち、外国人技能実習機構が調査を行います。
監理団体は技能実習法にのっとり、
実習実施者と技能実習生との間のあっせんや、実習実施者への指導、
技能実習生からの相談対応などを行います。
つまり監理団体は、
「技能実習の適正な実施」「技能実習生の保護」において重要な役割を担っているといえます。
このように重要な役割を担っているため、監理事業を行おうとするものは、
主務大臣(法務大臣・厚生労働大臣)の許可を受ける必要があります。
許可区分は、技能実習法では以下の2つに分かれています。
①一般監理事業(監理事業のうち②以外)
②特定監理事業(第1号・ 第2号団体監理型技能実習のみを行う実習実施者について実習監理を行う事業)
第3号技能実習の実習監理を行うことができるのは、一般監理事業の許可を受けた監理団体のみです。
優良な監理団体の基準を満たす必要があります。
監理団体の許可を取るまでの流れ
①監理事業を行おうとする者による、監理団体の許可申請
②外国人技能実習機構による、団体の体制等への予備審査
1. 許可基準に適合すること
・監理事業を適正に行う能力を有すること
・外部役員の設置又は外部監査の措置を行っていることなど
2. 欠格事由に該当しないこと
・一定の前科がないこと
・5年以内に許可取消しを受けていないこと
・5年以内に出入国、または労働に関する法令に関し不正、または著しく不当な行為をしていないことなど
外国人技能実習機構による予備審査を通れば、主務大臣へ報告されます。
③主務大臣による、監理団体の許可
これらの流れを経た後に、技能実習計画作成の認定手続きへ移ります。
技能実習生に対する相談・援助
母国語相談ホットライン
外国人技能実習機構は、技能実習生からの様々な相談に対して、実習生の母国の言葉で対応しています。
日本での生活に関すること、技能実習に関することなど、相談内容は幅広く、様々です。
相談は電話の他、メールや手紙でも受け付けています。
また相談に加え、技能実習生からの通報・申告等に応じる体制を整備しています。
そのため、実習実施者・監理団体の法令違反があった場合には、
技能実習生が当該事実を出入国在留管理庁長官および厚生労働大臣に通報・申告することができます。
技能実習SOS・緊急相談専用窓口/公益通報窓口
「母国語相談ホットライン」のほかに、「技能実習SOS・緊急相談専用窓口」を設置しています。
技能実習生の一層の保護を図る観点から、技能実習生が安全・安心に技能の修得等を行うように支援するための窓口です。
暴行、脅迫、その他人権を侵害する行為などの緊急案件を迅速に把握し、技能実習生の一時保護や実習実施先に対する臨時検査を一体的に行うことにより、技能実習生の安全を守ります。
技能実習生に対する転籍の支援
実習実施者側の都合で、技能実習を継続させることが困難になる場合に機構の支援を受けます。
実習の継続が困難になった場合、監理団体や実習実施者は新しい実習実施者と調整し、技能実習生に対して実習先変更の支援を行います。
そこで機構では、技能実習生の新たな受入先となりうる監理団体の情報の受付、および提供を行っています。
以下のサイトへアクセスし、技能実習生の受入れを募集している監理団体から情報の登録を受け付けます。
一方、新たな受入先を探している監理団体には、登録された情報を提供しています。
また、監理団体および実習実施者が新たな実習先を確保する努力を尽くしてもなお実習先の確保ができない場合は、地方事務所・支所にて電話や面談による相談に応じ、情報の提供を行うなど、必要な支援を行っています。
なお、第2号技能実習から第3号技能実習に進む段階となった技能実習生は、第3号技能実習を行う実習 実施者を、自ら選択することができます。
機構ではそのような実習生に対しても、実習生の受入れを希望している監理団体の情報を提供しています。
【第2号技能実習から第3号技能実習へ移行を希望する技能実習生向け実習先変更支援サイト】
転籍に伴う、その他の支援
◯技能実習生への一時宿泊先の提供
実習実施者の経営上・事業上の都合や、監理団体・実習実施者からの不適正な行為などのやむを得ない事情により、技能実習の継続意思を有しているにもかかわらず、宿泊先がない場合、
その技能実習生に対して、機構が一時宿泊先を提供する等の保護・支援を行っています。
【一時宿泊先の提供に関する支援の流れ】
① 技能実習生から機構(本部又は地方事務所・支所)へ相談
・関係者からの事情等の聴取、確認
・一時宿泊先提供の必要性を判断
② 一時宿泊先の提供
・機構は、あらかじめ地方事務所もしくは支所が所在する地域の都道府県別に旅館ホテルの団体と協定を締結
・相談を受けた技能実習生に一時宿泊先の提供が必要と判断した場合、当該実習生を保護し、一時宿泊先の提供
③ 一時宿泊施設における支援
・技能実習生は提供された宿泊先に一定期間滞在
・居所と食事の提供を受けながら、新たな実習先の確保等の支援を機構が行う(費用は機構が必要な額を負担)
技能実習に関する調査・研究等
外国人技能実習機構では、技能実習制度の適切かつ円滑な運用を図るための調査を行っています。
技能実習を修了し帰国した技能実習生について、帰国後の就職状況、職位の変化、日本で修得した技術・技能・知識の活用状況などに関する「帰国後技能実習生フォローアップ調査」や、
帰国後の技能実習生に対する監理団体からの就職支援に関する調査などを行います。
この調査をもとに、今後の技能実習制度の改善につなげるための基礎資料を作ります。
まとめ
今回は、外国人技能実習機構について紹介しました。
改めて、機構の主な業務は以下の7点です。
◯ 技能実習計画の認定
◯ 実習実施者・監理団体への報告要求、実地検査
◯ 実習実施者の届出の受理
◯ 監理団体の許可に関する調査
◯ 技能実習生に対する相談・援助
◯ 技能実習生に対する転籍の支援
◯ 技能実習に関する調査・研究
これらは、技能実習制度を適正・安全に運用するためのものです。
指導や手続きなど、手間がかかることがありますが
しっかり把握し、協力するようにしましょう。