永住者とは
「永住者」とは、在留資格の1つです。
永住者(永住許可)を取得している外国人は、在留期間の定めなく日本に滞在することができます。
他の在留資格「留学」「技能実習」「特定技能」などとは異なり、永住者には活動制限がありません。
そのため、職種・業種を問わず就労することができます。
永住許可を取得するメリット4選
永住許可を取得するメリットを4つ、紹介します。
1. 職種・業種の制限がない
永住許可を取得している外国人には、職種・業種の制限がありません。
「留学」「特定技能」などの他の就労ビザでは就くことができる仕事が決まっています。
これに違反すると入管法違反となり罰せられます。処罰の内容によっては、日本からの退去強制の対象とされます。
しかし、「永住者」には就労に関する制限がないため、日本人と同じようににどんな職業でも就くことができます。
2. ビザの更新が不要に
永住権を取得すると、他の就労ビザなどのように1年、3年、5年に1回といったビザ更新が必要なくなります。
法務省によると永住権は「無期限」とされています。
そのため、数年に一度のビザ更新のために出入国在留管理局まで行く必要がなくなります。
また、更新手続きを忘れてしまう不安もなくなるため、安心して日本で暮らすことができます。
(在留カードには期限があります)
3. ローンを組める
金融機関でローンを組むことができるようになります。
外国人の借入において、「永住者の在留資格をもっていること」が要件とされています。
そのため、仕事や収入などの要件はクリアしており多額の収入が確保できていても、永住者の在留資格がないためにマイホームの購入など、「大きな買い物」ができない事例があります。
永住許可を取得すれば、外国人の方でもローンを組むことができ「大きな買い物」ができるようになります。
最近では永住者の在留資格なしでも住宅ローンを組める銀行が増えているようですが、金利やサービス内容等において劣るものもあります。自身の好きな金融機関で好きなサービスを選びたい場合は、永住者の在留資格を取得する方がよいでしょう。
4. 家族の滞在制限が少なくなる
就労に関する在留資格で働く外国人に家族がいる場合、その家族には「家族滞在」の在留資格が与えられます。
この「家族滞在」をもつ家族がアルバイトなどで働く場合には、出入国在留管理局の許可が必要です。
また、就労に関する在留資格を持つ家族の在留資格の更新が不許可になった場合は、その家族の在留資格も不許可になります。
ですが、永住者の在留資格を持っている人がいれば、その配偶者や子どもは、「永住者の配偶者等」という在留資格を取得できます。
この「永住者の配偶者等」であれば、原則として就労制限はありません。
永住許可の申請も数年待てば要件を満たすことができ、家族全員が永住者の在留資格を取得することが可能になります。
家族と共に日本で長く暮らす予定がある場合は、永住者の在留資格の取得は大きなメリットとなります。
「永住者」を取得するための条件
出入国在留管理庁が定める永住許可に関するガイドラインをもとに、
「永住者」の取得に必要な要件を見てみましょう。
(※この要件は令和元年5月31日に改定されたものです。また、この情報は令和3年12月15日に記事作成者が引用したものです。)
1. “素行が善良であること”
以下の2点が求められます。
・法律を守ること
・日常生活において、住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること
2. “独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること”
日本で長く暮らしていける資産や収入を自身で確保できていることが必要です。
世帯年収300万円が目安です。
3. “その者の永住が日本国の利益に合すると認められること”
以下の4つの要件を満たす必要があります。
ア: 原則として引き続き10年以上、日本に在留していること。
ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」および「特定技能1号」を除く。)または居住資格をもって引き続き5年以上在留していること。
イ: 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。
また、公的義務(納税, 公的年金および公的医療保険の保険料の納付, 出入国管理および難民認定法に定める届出など)をしていること。
ウ: いま持っている在留資格について、「出入国管理および難民認定法施行規則別表第2(※参考1)」に規定されている最長の在留期間内で在留していること。
エ: 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
(※ 日本人、永住者または特別永住者の配偶者または子である場合は、(1)(2)の要件を満たす必要はありません。また、難民の認定を受けている場合は、(2)の要件を満たす必要はありません。)
※参考 「出入国管理および難民認定法施行規則別表第2」
在留資格 | 在留期間 |
永住者 | 無期限 |
公用 | 5年、3年、1年、3ヶ月、30日または15日 |
教授 | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
芸術 | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
宗教 | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
報道 | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
高度専門職 | 5年、または無期限 |
経営・管理 | 5年、3年、1年、6ヶ月、4ヶ月または3ヶ月 |
法律・会計業務 | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
医療 | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
研究 | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
教育 | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
技術・人文知識・国際業務 | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
企業内転勤 | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
介護 | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
興行 | 5年、3年、1年、3ヶ月または15日 |
技能 | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
特定技能 | ・第1号の場合は1年、6ヶ月または4ヶ月・第2号の場合は3年、1年または6ヶ月 |
技能実習 | 5年、3年、1年 |
文化活動 | 3年、1年、6ヶ月または3ヶ月 |
短期滞在 | 90日もしくは30日または15日以内の日を単位とする期間 |
留学 | 4年3ヶ月を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間 |
研修 | 1年、6ヶ月または3ヶ月 |
家族滞在 | 5年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間 |
特定活動 | 5年、3年、1年、6ヶ月または3ヶ月 |
日本人の配偶者 | 5年、3年、1年または6ヶ月 |
永住者の配偶者等 | 5年、3年、1年または6ヶ月 |
定住者 | ・5年、3年、1年または6ヶ月・5年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間 |
原則10年在留に関する特例
『3. “その者の永住が日本国の利益に合すると認められること”』の「ア: 原則として引き続き10年以上、日本に在留していること。」
に関する特例があります。
全部で7項目です。
(1) 日本人、永住者および特別永住者の配偶者の場合、
・実体を伴った婚姻生活が3年以上継続しており、かつ引き続き1年以上日本に在留していること。
・その実子等の場合は1年以上日本に継続して在留していること。
(2) 「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること。
(3) 難民の認定を受けた者の場合、認定後5年以上継続して日本に在留していること。
(4) 外交、社会、経済、文化等の分野において「我が国への貢献」があると認められる者で、5年以上本邦に在留していること。
[※リンク: 「我が国への貢献」に関するガイドライン]
(5) 地域再生法(平成17年法律第24号)第5条第16項に基づき認定された地域再生計画において明示された同計画の区域内に所在する公私の機関において、出入国管理および難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動を定める件(平成2年法務省告示第131号)第36号又は第37号のいずれかに該当する活動を行い、当該活動によって「我が国への貢献」があると認められる者の場合、3年以上継続して本邦に在留していること。
(6) 出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令(以下「高度専門職省令」という。)に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの。
ア: 「高度人材外国人」として3年以上継続して日本に在留していること。
イ: 3年以上継続して日本に在留している者で、永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められること。
(7) 高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの
ア: 「高度人材外国人」として1年以上継続して日本に在留していること。
イ: 1年以上継続して日本に在留している者で、永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上の点数を有していたことが認められること。
永住権取得の準備
申請できる期間は?
◯ すでに取得している在留資格から変更する場合は、在留期間が満了する日以前に申請できます。
永住許可申請中に在留期間が終わってしまう場合は、在留期間の満了する日までに別途在留期間更新許可を申請する必要があります。
◯ 永住者の子供など、新たに取得を希望する場合は、出生・その他の事由発生後30日以内に申請します。
申請できる人
1. 申請者本人
日本での滞在を希望している外国人本人のことです。
2. 代理人
以下の3項目のいずれかに当てはまる方が代理人として申請できます。
◯ 親権者
申請者が20歳未満の場合、本人に代わって身分上および財産上の監督保護・教育を内容とする権利義務を有する方。
◯ 未成年後見人
申請者が20歳未満の場合で親権者がいない場合、または親権者が管理権(財産に関する権限)を有しないときに後見となる方。
◯ 成年後見人
申請者が成年被後見人の場合で、本人に代わって法律行為を行う方、または本人による法律行為を補助する方。
3. 取次者
(1) 地方出入国在留管理局長から申請取次の承認を受けている次の者で、申請人から依頼を受けたもの
ア: 申請人が経営している機関、または雇用されている機関の職員
イ: 申請人が研修、または教育を受けている機関の職員
ウ: 外国人が行う技能・技術、または知識を修得する活動の監理を行う団体
エ: 外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員
(2) 地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士、または行政書士で、申請人から依頼を受けたもの
(3) 申請人本人が16歳未満の場合、または疾病(注1)その他の事由により自ら出頭することができない場合(注2)には、その親族または同居者もしくはこれに準ずる者(注3)で地方出入国在留管理局長が適当と認めるもの
(注1) 「疾病」の場合、疎明資料として診断書等の持参が必要です。
(注2) 理由書(任意様式)等の持参が必要です。
(注3) 申請人との関係を証明する資料(住民票等)の持参が必要です。
必要な書類
◯ 申請書
◯ 写真
1葉、次の規格の写真の裏面に氏名を記入し、申請書に添付して提出します。
16歳未満の方は,写真の提出が不要です。
◯ 立証資料
必要な書類は以下の4パターンによって異なります。
【1. 申請人の方が、日本人の配偶者、永住者の配偶者、特別永住者の配偶者またはその実子等である場合】
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/zairyu_eijyu01.html
【2. 申請人の方が、「定住者」の在留資格である場合】
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/zairyu_eijyu02.html
【3. 申請人の方が、就労関係の在留資格(「技術・人文知識・国際業務」「技能」など)および「家族滞在」の在留資格である場合】
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/zairyu_eijyu03.html
【4. 申請人の方が、「高度人材外国人」であるとして永住許可申請を行う場合】
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00131.html
◯ 在留カード
在留カードとみなされる外国人登録証明書を含みます。
申請人以外の方が、当該申請人に係る永住許可申請を行う場合は、在留カードの写しを申請人に携帯させ、来庁する方が申請人の在留カードを持参する必要があります。
◯ 資格外活動許可書を提示(同許可書の交付を受けている者に限る)
◯ 旅券または在留資格証明書を提示
旅券・在留資格証明書を提示することができないときは、その理由を記載した理由書を提出します。
◯ 身分を証する文書等の提示(申請取次者が申請を提出する場合)
◯ 了解書
2021年10月1日から必要になった書類です。
まとめ
今回は在留資格「永住者」について解説しました。
日本で長く暮らすため、永住許可を得るためには満たすべき要件があります。
これらを把握しておき、永住許可申請の見通しを立てて備えておきましょう!