目次
在留資格「研究」とは
1. 活動内容
在留資格「研究」は文字の通り、研究を行うための在留資格であり、
外国人が研究活動を行うために日本に来る際、必要なものです。
【※補足】
ここでいう研究活動とは、日本の公私の機関との契約に基づいて行うものに限ります。
また、大学教授として活動をする場合は、「教授」の在留資格になります。
2. 在留期間
在留できる機関は、
5年、3年、1年、3ヶ月のいずれかです。
在留資格「研究」を取得するための要件(基準)
在留資格「研究」への申請者は、これから紹介する2つの要件の両方を満たしている必要があります。
ただし、以下の機関・法人にて、
法務大臣が告示を持って定めるものとの契約に基づいて研究活動を行う場合は、
要件を満たす必要はありません。
◯ 国もしくは地方公共団体の機関
◯ 日本の法律により直接設立された法人
◯ 日本の特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人
◯ 日本の特別の法律により設立され、かつその設立に関し行政官庁の認可を必要とする法人もしくは独立行政法人
◯ 国、地方公共団体もしくは独立行政法人から交付された資金により運営されている法人
1. 学歴に関する要件
学歴に関して、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
申請者の過去の経験に関する要件です
【学歴に関する要件①】
◯ 大学(短期大学を除く。)を卒業。
◯ 大学と同等以上の教育を受けた。
◯ 日本の専修学校の専門課程を修了した。
上記のいずれかの教育課程を受けた後、従事しようとする研究分野において
修士の学位、もしくは3年以上の研究の経験(大学院において研究した機関を含む。)があること。
【学歴に関する要件②】
従事しようとする研究分野において、
10年以上の研究の経験(大学において研究した期間を含む。)があること。
【※補足: 学歴に関する要件を満たさなくていい場合について】
日本国内に本店,支店,その他の事業所がある公私の機関の、外国にある事業所の職員が
日本の事業所に期間を定めて転勤し、その事業所にて研究業務を行う場合であり、
申請に係る転勤の直前に外国にある本店、支店、その他の事業所において
法別表第一の二の表の研究の項の下欄に掲げる業務に従事しており、
その従事期間が1年以上である場合は、学歴に関する要件を満たす必要はありません。
2. 報酬に関する要件
日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることです。
はっきりと額が決められているわけではありません。
当該外国人の受け入れ機関で働いている日本人従業員と同じ職位の場合に、
同等かそれ以上であれば問題ありません。
その受け入れ機関が外国人を初めて受け入れる、雇用形態がそれぞれ違っているために、
比べる相手がいない場合は、外国人労働者を受け入れている他の企業の同じ職種の賃金を参考に
入国管理局から判断されます。
報酬の考え方に注意が必要です。
日本企業では、「基本給を低く設定し、各種手当を加算して他の企業と同等の額に合わせている」企業が稀に見られます。
このような考え方は、外国人労働者受け入れ時の報酬の考え方に使ってはいけません。
在留資格で要求されている「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬」とは、
あくまで労働の対価である基本給に関する話です。
外国人労働者の基本給を低く設定し、日本人従業員の基本給と合わせるために、
各種手当てを乗せていく方法では要件を満たしているとは見なされません。
また、「日本人と同等の額の報酬だと外国人の母国の生活水準だと高給に当たる」という理由で、
外国人労働者の報酬を日本人従業員より抑えることも認められません。
在留資格の取得申請
申請の流れ
【ステップ1】 申請に必要な書類を揃える、または作成します。
必要な書類の内容は後述します。
【ステップ2】 入国管理局へ申請
揃えた書類を入国管理局へ持っていき、申請します。
【ステップ3】 結果の通知
申請時に必要書類として返信用封筒(もしくはハガキ)を提出します。
その封筒にて結果の通知が届きます。
【ステップ4】 入国管理局にて残りの手続き
入国管理局へ行き、収入印紙を購入し、受領サインをします。
【必要書類を知る前に!】 4つのカテゴリー
在留資格「研究」で入国する外国人は、カテゴリー1,2,3,4の
4つのカテゴリーに分けられます。
申請者がどのカテゴリーに属しているかにより、申請時の必要書類が異なるため、
まずは申請者がどのカテゴリーに属するかを知る必要があります。
カテゴリーの分け方は以下の通りです。
申請者が所属する機関によって分けられます。
カテゴリー1
以下のいずれかに該当する機関に所属する方が、カテゴリー1です。
1. 日本の証券取引所に上場している企業
2. 保険業を営む相互会社
3. 日本または外国の国・地方公共団体
4. 独立行政法人
5. 特殊法人・認可法人
6. 日本の国・地方公共団体認可の公益法人
7. 法人税法別表第1に掲げる公共法人
8. 高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イまたはロの対象企業(イノベーション創出企業)
[↓対象企業に関する詳細は、こちらからご覧ください。]
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/newimmiact_3_evaluate_index.html
9. 一定の条件を満たす企業等
[↓一定の条件の詳細は、こちらからご覧ください。]
https://www.moj.go.jp/isa/content/930004712.pdf
カテゴリー2
以下のいずれかに該当する機関に所属する方が、カテゴリー2です。
1. 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人
2. 在留申請オンラインシステムの利用申出の承認を受けている機関
カテゴリー3
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)が、
カテゴリー3の方です。
カテゴリー4
カテゴリー1,2,3のいずれにも属さない方が、カテゴリー4です。
用意する書類
【共通で必要な書類】(カテゴリー1,2の場合)
まずは、全カテゴリーで共通して必要な書類を紹介します。
カテゴリー1,2に属する場合は、以下の共通書類だけが必要です。
1. 在留資格認定証明書交付申請書 1通
2. 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
申請前3ヵ月以内に正面から撮影された無帽、無背景で鮮明なものである必要があります。
写真の裏面に申請人の氏名を記載し、申請書の写真欄に貼付してください。
3. 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上、404円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの) 1通
4. 当該カテゴリーのいずれかに該当することを証明する文書 適宜
(※ 提出可能な書類がない場合は、カテゴリー4に該当することとなります。)
【カテゴリー1】
◯ 四季報の写し、または日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)
◯ 主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し)
◯ 高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イまたはロの対象企業(イノベーション創出企業)であることを証明する文書(補助金交付決定通知書などの写し)
◯ 上記「一定の条件を満たす企業等」であることを証明する文書(認定証などの写しなど)
【カテゴリー2】
◯ 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
◯ 在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを証明する文書(利用申出に係る承認のお知らせメール等)
【カテゴリー3】
◯ 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
5. 派遣契約に基づいて就労する場合(申請人が被派遣者の場合)
申請人の派遣先での活動内容を明らかにする資料(労働条件通知書(雇用契約書)等) 1通
カテゴリー3の場合
カテゴリー3に属する方は、共通書類として紹介した1,2,3,4,5に加えて、以下の書類が必要です。
6. 申請人の活動の内容等を明らかにする次のいずれかの資料
(1) 労働契約を締結する場合
労働基準法第15条第1項、および同法施行規則第5条に基づき、労働者に交付される労働条件を明示する文書 1通
【※参考】
◯ 労働基準法第15条第1項
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
◯ 労働基準法第5条
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
(2) 日本法人である会社の役員に就任する場合
役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては同委員会の議事録)の写し 1通
(3) 外国法人内の日本支店に転勤する場合、および会社以外の団体の役員に就任する場合
地位(担当業務)、期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書 1通
7. 申請人の学歴、職歴及びその他経歴等を証明する文書
(1) 関連する職務に従事した機関並びに活動の内容及び期間を明示した履歴書 1通
(2) 基準省令第一号の適用を受ける者の場合は次のいずれかの文書
a. 大学等の卒業証明書、これと同等以上の教育を受けたことを証明する文書又は高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書 1通
b. 研究の経験期間を証明するもの(大学院又は大学において研究した期間を含む。) 1通
(3) 基準省令ただし書きの適用を受ける者の場合
a. 過去1年間に従事した業務内容および地位、報酬を明示した転勤の直前に勤務した外国の機関(転勤の直前1年以内に申請人が研究の在留資格をもって本邦に在留していた期間がある場合には、当該期間に勤務していた本邦の機関を含む。)の文書 1通
b. 転勤前に勤務していた事業所と転勤後の事業所の関係を示す次のいずれかの資料
< i. 同一の法人内の転勤の場合 >
外国法人の支店の登記事項証明書等当該外国法人が日本に事業所を有することを明らかにする資料 1通
< ii. 日本法人への出向の場合 >
当該日本法人と出向元の外国法人との出資関係を明らかにする資料 1通
< iii. 日本に事業所を有する外国法人への出向の場合 >
◯ 当該外国法人の支店の登記事項証明書等当該外国法人が日本に事業所を有することを明らかにする資料 1通
◯ 当該外国法人と出向元の法人との資本関係を明らかにする資料 1通
8. 事業内容を明らかにする資料
(1) 勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む。)等が詳細に記載された案内書 1通
(2) その他の勤務先等の作成した上記(1)に準ずる文書 1通
(3) 登記事項証明書 1通
9. 直近の年度の決算文書の写し。新規事業の場合は事業計画書 1通
(ただしカテゴリー3については転勤して研究を行う業務に従事する場合に限る。)
カテゴリー4の場合
カテゴリー4に属する方は、ここまで紹介した1〜9の書類に加えて、以下の書類が必要です。
10. 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする次のいずれかの資料
(1) 源泉徴収の免除を受ける機関の場合
外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料 1通
(2) 上記(1)を除く機関の場合
a. 給与支払事務所等の開設届出書の写し 1通
b. 次のいずれかの資料
(ア) 直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるものの写し) 1通
(イ) 納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料 1通
まとめ
今回は、在留資格「研究」について解説しました。
この在留資格を取得するには、学歴、報酬に関する要件を満たす必要があります。
また、申請する外国人が属するカテゴリーを把握し、適切な書類作り・準備をする必要があります。
適切に申請作業を進めるためにも、何度も記事を読み直し、
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- 執筆者
- 外国人労働者ドットコム編集部