目次
世界の人材を積極的に採用しよう
日本の企業では、少子化などの人口減少によって人手不足が深刻な課題となっています。
さらに、日本の企業がグローバル時代を生き抜くためには、世界の優秀な人材を積極的に採用することが重要です。
外国人労働者の5種類のカテゴリー
日本での外国人労働者の受け入れが拡大しているため、外国人労働者の人口は年々増加しており、現在では約146.0万人の外国人労働者がいます。
この日本にいる外国人労働者は、在留資格の種類に応じて5つのカテゴリーに分類できます。
- 「専門的・技術的分野の在留資格」・・・約27.7万人。就労目的で在留が認められる者。大学を卒業して一般企業に就職する人など、ホワイトカラー事務職の外国人労働者。
- 「技能実習」・・・約30.8万人。農業、漁業、建設業、製造業の現場作業等。中国、フィリピンなど開発途上国への国際協力が目的。
- 「特定活動」・・・約3.6万人。ワーキングホリデーなど、それぞれの外国人について特に活動を指定する在留資格。
- 「資格外活動」・・・約34.4万人。留学生のアルバイト等。
- 「身分に基づき在留する者」・・・約49.6万人。主に日系人の定住者、永住者、日本人の配偶者等。
※厚生労働省ホームページ「日本で就労する外国人のカテゴリー」参照
今回の記事では、上記の5種類のカテゴリーの中でも「専門的・技術的分野の在留資格」の大学等を卒業して一般企業に就職、転職する外国人の採用についての解説をしていきます。
外国人採用の利点
この項目では外国人採用の主な利点について4つを解説します。
利点の1つに、外国人労働者は日本人よりも低賃金で雇用できると思う人がいるかもしれません。しかし、外国人にも最低賃金の適用がありますし、外国人を雇用した場合の給料に関しては法務省令で日本人社員と同額以上とされています。そのため、外国人だから日本人よりも低賃金にできるというわけではありません。
生産性が高まる
外国人は日本人と違った面で高い能力を持っている人材が多いです。
例えば、帰国してから起業を考えている外国人は経営者視点で物事を考えたりします。日本で働こうとする外国人は貪欲に学ぼうとする姿勢や、自身の職種を越えてなんでも吸収するマインドがあります。優秀な外国人労働者を採用すれば、会社の生産性を高めることができるのです。
社員のモチベーションが高まる
例えば、外国人労働者がいることで、社内で英語を使う機会が増え、日本人社員の英語力の向上につながります。日本人社員は意識の高い外国人社員の刺激を受けて、モチベーションが高まるでしょう。
販路の拡大になる
インバウンド事業に展開する場合は、外国人を採用することで、有利に働きます。外国人の語学力、人脈などを活用することで販路の拡大につながる可能性もあります。
仕事がスムーズになる
海外取引をしている企業や、これから始める予定の企業は外国人の採用のメリットが大きいです。語学力があり、相手国の商習慣を理解している外国人がいれば、仕事の取引をスムーズにすることができます。
外国人労働者を採用するためのポイント6つ
外国人労働者を採用する利点が分かったところで、採用者がおさえておくべき、外国人労働者を採用するための6つのポイントをご紹介します。
外国人労働者を日本語能力だけで判断しない
外国人労働者を日本語能力だけで判断すれば、採用の幅は狭くなってしまいます。接客や営業などの場合は一定レベルの日本語能力が必要になりますが、自社社員以外の人と話しをする必要がない場合は、日本語能力が高くなくても、仕事をしていくことができます。
外国人労働者の日本語能力は、日本で働いている内に向上していくため、時間と経験によって解決してくれる可能性があります。
そのため、日本語の能力だけで採用を判断しないようにしましょう。
英語が話せる外国人労働者を選ぶ
日本語よりも、英語が得意な外国人労働者は多いです。英語が母国語ではないのに、英語が話せる場合は優秀な人である可能性も高いです。採用後の外国人労働者のコミュニケーションについては、社員が英語を使って話していくのもいいかもしれません。
外国人労働者の採用に関して、英語でしか話せなくても、日本語は入社後に覚えてもらっていけるようにしてもいいでしょう。
外国人労働者に向けてウェブサイトを充実させる
外国人の社員は自分の母国ではない国で働くことになりますから、母国の親族へは立派に仕事をしていると伝えたい気持ちがあります。会社のウェブサイトを英語で書かれたものを作成するなど充実させることで、外国人労働者の親族へ立派に仕事をしていると伝えられます。
また、会社独自のグッズやカレンダーがあれば、外国人労働者は母国の親族へ会社をアピールすることができ、喜ばれるでしょう。
外国人労働者の在留資格の支援をする
在留資格とは、外国人労働者が日本に入国・在留するための資格です。在留資格は外国人労働者が日本にいられるかどうかの大切なものになるため、会社でも支援をするようにしましょう。
在留資格に関する詳細について知りたい場合は、「【外国人労働者の在留資格】更新の方法や不許可対策を解説」を読んでみてください。
外国人労働者の宗教的な理解をする
宗教上の観点から厳しい規律を守っている外国人は多いです。
例えば、イスラム教徒の場合は、1日5回の礼拝が義務付けられています。
基本的には、夜明け前、昼、午後、日の入り、夜と5回の礼拝となりますが、状況に応じて義務を緩和できます。
就業中であれば、昼と午後の礼拝を1回に合わせることも可能です。
一般的には一回のお祈り時間は10分程度となっています。
礼拝の場所は「清潔な場所」なら問題ないようですので、会社の会議室や部屋など、他の空間と仕切られた部屋を用意しておきましょう。
他にも様々な宗教の文化的配慮をする必要はありますが、外国人労働者を採用する際には宗教的な理解をして対応できるようにするのが大切です。
外国人労働者へ福利厚生をアピール
プラス要素として、福利厚生を外国人労働者にアピールするといいでしょう。例えば、外国人労働者の親族が来日した際には、福利厚生のホテルを利用してもらい、親孝行としても活用してもらえます。
外国人労働者は自信のスキルアップの環境についても重要視していますので、スキルアップの費用の負担についても判断基準の1つとなります。
福利厚生として資格取得についてサポートしているのであれば、外国人に対してアピールしていきましょう。
外国人労働者の求人の書き方のコツ
外国人労働者の求人について、11の書き方のコツを解説します。
採用したい人物像を明確化
外国人労働者を募集するための求人を書く際には、採用したい人物像をできる限り明確化します。採用したい人物像について、下記のそれぞれの項目を考えて、それに近い人物を採用するようにするといいでしょう。
採用したい人物像
・職種
・仕事のキャリアパス(姿勢)
・スキル(経験値)
・日本語能力
仕事内容・条件を詳細に記入
外国人は日本人社員の募集と違い、仕事内容や条件を詳細に示さなければ応募をしないことが多いです。例えば、「給料は応相談、経験による」と曖昧に書かない方がいいでしょう。
これは外国人と日本人の労働に関する価値観が違うことが理由で、契約社会の発想が強い人は、契約書で提示された以外の仕事をするのに抵抗を感じることもあるでしょう。
例えば、書類作成という条件で外国人を採用した場合は、お茶出しなどが業務内容に含まれるか疑問です。
そのため、募集する際にも下記の項目などは詳細に記入しておく必要があります。
外国人労働者の応募条件
・仕事内容
・給料
・就業場所
・休日
・残業
・社会保険
・手当
・その他条件
仕事内容・条件を詳細に記入して外国人労働者を採用しましょう。
給与・賞与は明確にする
給与や賞与は具体的に明確な記載をしましょう。
例えば、賞与の場合「賞与については業績に応じて支給」と曖昧な表現ではなく、「賞与は給与の2ヶ月分」などと具体的に記載します。
外国人労働者は曖昧な記述に不信感を覚えますので、注意しておきましょう。
離職率などの数値を明確にする
3年後離職率、平均勤続年数、月平均残業時間数なども曖昧にせず、具体的な数値化をしておくことで、外国人労働者は安心して応募ができます。
スキルアップや成長できる環境について記載
日本人労働者は先に人を採用してから仕事を割り振る「メンバーシップ型雇用」で終身雇用が前提の社会です。しかし、外国人労働者は仕事に対して人が割り当てられる「ジョブ型雇用」で転職が前提の社会になります。
そのため、外国人労働者は、個人のスキルアップや成長できる環境についても重要視しています。仕事の厳しさや大変さを伝えると共に、スキルアップや成長できる環境についても記載するといいでしょう。
入社後のキャリアプランを記載
留学生に向けた求人などは、入社後のキャリアプラン、研修サポートについても具体的に記載していると、応募しやすいでしょう。
さらに、外国人社員が必要な理由や経緯についても記載しておくと応募者を安心させることができます。
自社ウェブサイトの応募は外国語で掲載
特定の国の人を採用したい場合は、その国の言語で記載して応募しましょう。中国人を採用したい場合は中国語で募集についてウェブサイトなどに掲載します。外国人全般であれば、共通語である英語で掲載します。ウェブサイトを翻訳ツールで多言語対応できるようにするのも1つの方法です。
外国語社員がいることを記載
既に外国人社員を採用していた場合や採用実績がある場合は、そのことを記載しておくことで、外国人社員が採用されているという安心感があります。
就労ビザが取得できるかの情報も重要で、外国人社員が働いていると分かれば、就労ビザが下りそうだと応募者は判断できます。求人票や自社ウェブサイトで就労ビザが取れる会社・仕事内容であることも伝えておきましょう。
自社ウェブサイトに、外国人社員のインタビューを掲載しておくのもいいでしょう。外国人社員がどのようにして働いているかが、明確に応募者に伝わりやすくなります。
外国人社員のインタビュー例
・担当の仕事内容
・入社前の不安な点
・入社して良かった点
・応募者へのメッセージ
求人に定番のフレーズを使いすぎない
求人に定番のフレーズを使いすぎないようにしたいです。例えば、「アットホームな職場です」という表現は抽象的なため、外国人には伝わりません。会社の特徴の魅力について具体的な表現で語ることによって、熱意や雰囲気を伝えることができます。
「未経験者歓迎」を記載すると募集されやすい
日本人労働者よりも圧倒的に少ない外国人労働者を採用するためには、「未経験者歓迎」を記載する方が募集しやすいです。外国人は異国の地での就職には不安があり、「未経験者歓迎」の記載があれば安心して応募ができます。
経験者の外国人労働者でも、ブランクや自分の経験レベルに不安がありますので、経験者のみの募集はハードルが高いといえるでしょう。ただし、優秀でない人が集まる場合もありますので記載については要検討しましょう。
求人に書き切れない情報を別紙に
これまで紹介したように、具体的に求人を記載していくと、ハローワークなどの求人の枠内に書き切れないこともあります。その場合は求人に書き切れない情報を別紙でも提出してもいいでしょう。
まとめ
・今後は更に外国人労働者の採用が重要
・外国人労働者を採用するためのポイントをおさえておく
・外国人労働者の求人の書き方を工夫してみる
この記事を参考に外国人労働者の採用を上手に進めていきましょう。
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- 外国人労働者ドットコム編集部
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