目次
はじめに
在留資格というのがどのようなものか、首をひねっている方も多いのではないでしょうか。
日本はこれから少子高齢化が進み、さらに労働人口が減少すると見込まれていることもあり、かなり積極的に外国人労総者の受け入れをしています。
これからは、外国人労働者を受け入れるというのも一つの手ではないでしょうか。
この記事では在留資格とは何か、また外国人が在留資格を取り上げられてしまうケースにはどのようなものがあるかを紹介していきます。
在留資格制度とは
在留資格制度とは、法務大臣が60日以上日本に滞在する外国人に対し、在留状況と適正な在留確保に資する制度の構築を図るための制度です。
在留資格制度は全ての外国人の入国と在留の公正な整理を行うために設けられています。
2012年7月9日から在留管理制度は新しくなりました。
変わった点は以下の3点です。
- これまでの3年だった在留期限の上限を最長5年にしたこと
- 出国1年以内は再入国手続を不要とする制度の導入
- 氏名や身分、在留資格や在留期間が記載された顔写真付きの在留カードのが交付
在留管理制度の対象となる人
在留カードによる在留資格制度は、中長期の間、日本に在留する外国人が対象です。以下6つの事項に当てはまらない方となります。
- 「3月」(3か月)以下の在留期間が決定された人
- 「短期滞在」の在留資格が決定された人
- 「外交」または「公用」の在留資格が決定された人
- 1.から3.の外国人に準じるものとして法務省令で定める人
- 特別永住者
- 在留資格を有しない人
活動類型資格と地位等類型資格
在留資格は約30種類(http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/kanri/qaq5.pdf)ありますが、大きく活動に着目した類型の在留資格と地位等に着目した類型の在留資格の2つに分かれています。
活動に着目した類型
ここでいう活動とは、日本に在留することが許可された活動のことをいいます。
法律によって在留資格を取得した範囲のみ活動が許されています。
例えばAIの技術者として来日する場合は、『技術・人文知識・国際業務』となり、プロスポーツで来日する場合は『興行』という在留資格が必要になります。
仮に在留資格を取得した範囲外の活動をしてしまうと、処罰の対象となります。
地位等に着目した類型
地位等に着目した在留資格は地位や身分で日本に在留する許可がある資格のことを言います。
日本人との結婚や永住者など地位によって日本で在留できる資格です。他にも永住者の配偶者や定住者といった資格があります。
在留資格とビザは全く違う
在留資格とは前述したように、日本に入国し活動をするのに必要な資格です。
ビザとは、外務省の機関である在外公使館が日本に入国する際に必要なものです。ビザ免除国ではない限り、ビザを持っていない外国人は仮に日本の空港に着いても入国することはできません。
またビザを持っているからといって、必ずしも日本に入国できるわけではありません。最終的に入国の可否を決めるのは空港の入国審査官が判断します。
このように在留資格は日本国内で活動をするために必要な資格に対し、ビザは日本に、入国するために必要な推薦状のようなものといって良いでしょう。
特定技能について
この項では外国人労働者が日本で在留するための資格特定技能について解説していきます。
特定技能は2019年に新しく新設された在留資格です。
特定技能で入国する際は日本語試験と技能試験があります。
受け入れる外国人を労働者として位置づけ日本国内で特に人手不足である、14業種で外国人が働くことができるようになりました。
特に人材不足が深刻な中小企業において一定の専門性や技能を持っている即戦力となる外国人の受け入れを目標としています。
外国人労総者を受け入れる分野である特定産業分野に認定された業種は、自動車整備業や建設業、宿泊業など計14種類です。
特定技能には1号と2号の2種類があります。
特定技能1号
人手不足解消のため一定の専門性と技能をもつ外国人労働者の受け入れを目的としているのが、特定技能1号です。
特定1号の外国人労働者に求めているのは、技術も日本語能力もある程度分かる比較的即戦力になる外国人労働者ということになります。
雇用契約が終わり次第帰国となりますが、最長5年まで延長が可能です。
特定技能1号の試験内容
特定技能1号で日本に在留するには、各分野の『技能水準試験』と『日本語能力試験』を受験し、合格をしないといけません。
技能水準試験は希望する分野によって試験形式も異なっています。
例えば宿泊業の試験は、30問、60分で口頭による判断試験が6問・5分あります。
また日本語能力試験では、『生活や業務に必要な日本語能力』と明記されています。
具体的には日本語能力試験N4以上が必要です。
N4は『基本的な日本語を理解することができる』となっています。
特定技能2号
特定技能2号は特定1号より高度なレベルの能力をもっている人材の確保が目標です。
しかし特定技能2号に移行できるのは2021年からと決まっていて、建設業と造船・舶用工業の2分野だけです。
残りの業種は現段階では移行予定はないようですが、他の業種も将来的には建設業と造船・舶用工業のように特定技能2号への移行ができるようになるかもしれません。
特定技能2号の試験内容
JITCO(公益財団法人 国際研修協力機構https://www.jitco.or.jp/ja/skill/)によると、技能水準の試験はありますが、日本語の能力水準は試験では不要となっています。
特定技能2号のメリット
特定技能2号は特定技能1号と比べて2つのメリットがあります。
1つは配偶者と子供など家族との帯同が可能なことです。
2つ目は更新の制限がなくなるので、将来的には永住権の資格も目指すことができるという
メリットがあります。
技能実習について
次に特定技能とは別の在留資格である技能実習について説明していきます。
特定技能とは違い在留資格を得るのに、介護職を除き入国の際の試験がありません。
また技能実習制度は特定技能とは明確に違うところがあります。
それは技能実習生としてきた外国人を特定技能のように、労働者不足のための手段として扱ってはいけないということです。
技能実習制度の目的は発展途上国の方が日本で技術や知識を学び、自分の国に帰り国の発展に役立てるためのものだからです。最長5年まで日本への在留が許可されています。
技能実習1号
技能実習1年目は技能実習1号となります。
最初の2ヶ月で監理団体が日本語や日本で生活するために必要な知識を身につけます。また
職種・作業内容の制限はありませんが、単純労働は禁止されています。
技能実習2号になる上で、技能検定基礎級又は技能評価試験である学科試験と実技試験に合格しないといけません。
また技能実習2号移行対象職種ではない職種の場合、技能実習期間終了後に帰国することになります。
技能実習2号
技能実習2号では技能実習1号より高い技術を身につけるため2年間の技能実習を行います。また技能実習2号は技能実習1号より習熟した業務になるために、職種・作業内容の変更はできません。
2017年11月より技能実習生2号が終了後の資格として、技能実習3号が創設されました。技能実習3号になることでさらに2年間(通算5年間)日本での在留が可能です。
技能実習3号へ移行するには、技能検定3級又は技能評価試験の実技試験に合格しなければなりません。
加えて優良な監理団体・実習実施者ではないといけないため、実習者だけではなく監理団体・実習実施者が協力が必要です。
技能実習3号
在留4・5年目を技能実習3号となります。
技能検定2級又はこれに相当する技能実習評価の実技試験への合格を目指します。
技能実習から特定技能への切り替え
2019年技能実習2号が修了した実習生は特定技能1号への変更ができるようになりました。
2019年4月からすでに宿泊業、介護業、外食業、三つの業種が特定技能1号を取得するのに必要な技能試験を行われました。
今年の10月には飲食料品製造業の技術試験。秋以降にはビルクリーニング業の試験が行われる予定です。
外国人労働者のトラブル
法改正によってこれから益々、外国人労働者は増えてくるでしょう。外国人労働者側からすれば全く悪気はないのに、日本との生活習慣や価値観のギャップからトラブルに発展してしまうというケースは多々起こってしまっているようです。
トラブルの事例をいくつか紹介していきます。
住宅問題
外国人労働者が急増している中、住宅問題は特に顕著な問題です。
自分の国と日本では生活習慣やマナーなどが全く違っているため、問題が起きやすくなっています。
例えば騒音によるクレームがあります。日本では夜中10時以降は大きな音を立てないなどの暗黙の了解があります。
また外国人は友人同士が集まって飲み会を開くことなども多いため、アパートの住人や近隣住民たちからクレームが多いというアパートもあります。
ただ外国人側も悪気があってうるさくしていたわけではないので、契約する前に事前に説明をしておくなどの対処をしておくことが必要でしょう。
技能実習生の失踪
技能実習生の失踪の問題も避けては通れません。
もらえる賃金が思っていた以上に少なかったり、過酷な職場から失踪してしまったりするというのは、ここ数年頻繁に起こってしまっています。
特に2017年の失踪者は7,089人と非常に多くなっています。
(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37904810X11C18A1EA3000/)
技能実習生の失踪を防ぐためには、法令・雇用契約をしっかり守り日本人と同等の待遇・取扱いを徹底するなど、従業員として尊重する姿勢が重要です。
外国人在留資格が取り消されてしまう場合
在留資格の取り消しは、不正な手段で上陸の調印を受けた場合や在留資格に基づく活動を一定期間行わなかった場合に実行されるものです。
不正な手段で許可を得た時
不正な手段を用いて上陸許可の調印を受けた場合や、虚偽の書類を提出したりすることなどです。
そして不正な手段を用いたのが意図的だったのか、あるいは意図的でなかった場合なのかでも変わってきます。
意図的だった場合
意図的だった場合とは以下の3つのパターンのことをいいます。
- 上陸拒否事由があるにも関わらず、不正な手段を使い上陸許可を得た人
- 虚偽の書類を提出し、上陸許可を得た人
- 日本で行う活動について偽り上陸を許可された人
意図的ではなかった場合
意図的ではなかった場合のパターンは以下の通りです。
- 上記1. 2. 3.以外の場合で、虚偽の書類を提出して上陸許可を受けた場合
- 偽りその他不正な手段の場合
- の『上記1. 2. 3.以外の場合で、虚偽の書類を提出して上陸許可を受けた場合』というのは、
例えば日本の会社が虚偽の書類を提出し、上陸を許可した人という意味で、この場合外国人が虚偽の書類を提出したのを知っていても知らなくても取消となってしまいます。
本来の活動を一定期間行なっていない場合
本来の活動を一定期間行っていないというのは、以下の2通りのパターンに分かれます。
ですが本来の活動を行っていないことに対しての、入院や倒産など正当な理由がある場合は除外します。
本来の活動ではなく別の活動をしていた
本来の活動というのは、例えば本来AIの技術者で『技術・人文知識・国際業務』で入国したはずなのにAIとは全く関係ない仕事をしていたというものです。
本来の活動を三ヵ月以上していない
例えば留学で来日していたにも関わらず、学校をやめて三か月間何もしていなかった場合などのことを指します。
まとめ
今回は在留資格制度と外国人が在留資格を取り消しになるケースについて説明していきました。
外国人労働者を雇う上で気をつけないといけないのが、外国人が引き起こす可能性のあるトラブルです。
経営者側が外国人の扱いを日本人と同様にするのは当然です。
しかし文化の違いや制度を正しく理解し、日本での生活しているうえでの疑問点や不満点を解決することで、トラブルを未然に解決できるのではないでしょうか。
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- 執筆者
- 外国人労働者ドットコム編集部
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